地獄を見た! 命がけの山行!!

ひとちが

2009年09月27日 11:59

2009/09/20
浅間山

全山行 145回
百名山 28座





標高 黒班山 2404m 蛇骨岳 2366m 仙人岳 2319m 鋸岳 2354m 浅間山 2568m
天気 晴れ
山行時間 8時間45分
距離 15.71km



〈コース〉車坂峠(高峰高原ホテル駐車場)(6:30-6:45・表コース)-トーミの頭(8:10-8:25)-黒班山(8:50-9:00)-蛇骨岳(9:20-9:30)-仙人岳(9:40-9:45)-Jバンド(10:00)-賽の河原(10:25)-前掛山登山口(11:00)-浅間山・火口(12:00-12:30)-前掛山登山口(1:00-1:15)-湯ノ平口(1:30)-トーミの頭(2:20-2:30・中コース)-車坂峠(3:30)




2006年9月、3年ぶりの規制緩和に伴い 浅間山は前掛山まで登山が可能となった。
しかし 2009年2月、浅間山は またもや噴火・・・
現在、前掛山登山口は 封鎖され 浅間山の山頂・火口に一番近い 前掛山に登山することは禁止されている。
自己責任のもと 命知らずの登山者たちが トラロープを潜り 掟を破り 無謀にも禁止区域を進む・・・
死を覚悟して ひとちがもまた進む・・・
生還なるか!


* 登山者の皆様へ。
ひとちがと同じコースへは 決して進まないで下さい、大変危険なコースです。
命の保障はありません。
ルールを守り 安全な登山をお願いします・・・





午前2時15分。
ちがこさん、飛び起きた!

げげぇーーーっ!
なんで目覚まし 鳴んないのさぁー・・・(ががぁ~ん)

昨日の すえちせ&じゃりんこ隊との山行から帰宅後、夕食の支度、そして本日の山行の支度と大忙しだった ちがこさん、1時に起きる予定が大幅に 大寝坊・・・(ぶひ。)

とりあえず 荷物をひっつかみ ひとしさんと車に乗り込む、時刻は2時30分。
浅間山の登山口、車坂峠まで ブンブン車を走らせた・・・

予想していたよりも スムーズに登山口までアクセスできたので ちがこさんが寝坊した時間もチャラになった♪(よかった、よかった、、、)
チェリーパークラインに入ると 日が昇り ようやくお化粧を始めた ちがこさん、ウネウネと曲がりくねる道のため 上手にお化粧できないじゃんよぉー(んがぁー。)
おかげで 眉毛は びっこっちょになり、口紅は はみ出す始末。。。
はぁぁぁ・・・・っ
仕方ないよねぇ、、、

景色もそこそこに登山口に到着、標高2000mにある車坂峠から眺める景色は抜群だ!
気温は 5℃、かなり サブサブじゃぁー
山の上を見上げると びゅーびゅーとスゴイ勢いで 左から右へ雲が流れていく・・・
車中から一歩外へでると まるで 真冬並み。(ちょいとクジケ気味。)

ひょえぇぇぇ~~~~っ・・・
サブすぎぃーーーーっ!!

ニットの帽子とダウンの冬装備が欲しい ひとちがであ~る。

さあ、さあ、負けちゃいられませんよぉー
噴火警戒レベルが表示されている看板を横目でチラリと見ながら出発♪(よっしゃ!)
今日、この日のために 用意したヘルメットを背に強風の吹き荒れるお山に向って進みだした。

 


緩やかな上りを車坂山の山頂に向けて登る。
少しお年寄りになった マツムシソウたちが 寒そうに顔を覗かせている。





それにしても なんて風の強いこと、台風の影響か 過ぎ去ってくれれば好天は間違いないはず! (うん、うん。)



尾根に出ると カマボコ型のシェルターが・・・
ドカンときた時は 頼もしいシェルターも サビて ちょいとボロボロだ





展望のよい場所に出た、吹き飛ばされそうであ~る。
目の前には 浅間山が どでんと鎮座。(わぁ~ぉ♪)



ふんがぁー!! スゴイ迫力

しかぁ~し、見えているのは 前掛山、その奥の火口は全く見ることはできない、噴煙が流れていることだけは確認できた。

 

ガレ場の尾根を登ると そこは360度の展望をもつ トーミの頭。
これから ひとちがが向おうとしている 蛇骨岳、仙人岳、鋸岳の美しい稜線が一望♪
なんとも かんとも 美しいお山なのだ!(よいですなぁ~・・・)


 

黒班山に向う。
途中、浅間山の火山活動を監視する TVカメラや避雷針、サイレン塔の横を通過し、山頂に到着、第一火口壁の中で一番高い この山は 浅間山の火山灰が流れてできた シマシマ模様をじっくりと見ることができるビュースポット



でもさぁー・・・・
なんだか物足りないわけよ、あまりに簡単すぎて百名山の一座を登った気がしないじゃん



ブツブツ言いながら 先に進む。
切り立った崖を進む、右手には浅間山の美しい姿を常に見ながらの ご機嫌山行。
蛇骨岳、仙人岳、鋸岳と 樹林帯や笹原、崖の淵を何度かアップダウンし Jバンドまできた。



 

弧を描くようにして 第一火口壁は 浅間山包んでいる。
左手の展望は 嬬恋方面、四阿山が 茶色と緑のカラフルなタイルのような模様の畑の後にそびえている・・・(きゃぁー! きれい)



すごい 眺めだねぇ・・・

写真を撮らずにはいられない ひとしさん。
目の前には もちろん浅間山。
ん? 前掛山の後に 浅間山の山頂が姿を現したぞぉー!
火口から噴煙が流れているのが確認できる。(わく わく!)

『ラッキー』

ちがこさんは 心の中で思った。

山行に出かける前、すえたろうさんから言われた言葉・・・

「火口の中の火山ガスは 風がないと溜まるんだ、火口の中を見たければ 風向きを見ないとダメだぞ。」

『今日は 北から風が吹いている、それも かなり強い。
ってことは なんとか 前掛山の分岐まで行けば 直登で山頂まで登り、火口の北側付近に到達できれば 火口をのぞくことができるんじゃない?』

あはは!!
無謀な ちがこさんには 困ったもんです・・・
ひとしさんとの計画では Jバンドを下り、賽の河原を通過、前掛山方面には向わず 草すべりを上り、トーミの頭から帰路する 人気の周遊コースを山行する予定でいましたから。

Jバンドの急坂を下る途中 すれ違った登山者が

「前掛山登山口には トラロープが張ってありました。 登山禁止の看板があったので諦めて周遊コースを逆にきましたよ、前掛山まで登れるかと期待してきましたが残念です」

と ボソリと話す。

ちがこさん、無言・・・
ひとしさん、ちがこさんを じっと見る。

たぶん ひとしさんは ちがこさんが 前掛山まで行こうとしているのわかってるんだ!

ひとしさんが 言う。

「時間を見ながらにしよう・・・」

「うん!」

わかってんじゃん、ひとしさん! 
さすが マイダーリン♪

賽の河原に出た。
見上げると 今まで歩いてきた 第一火口壁が 荒々しい姿で壁を作っている。
とりわけスゴイのは 鋸岳だ。
ゴジゴジと ゴジラの体のような岩肌は 尾根歩きからは想像できないほど迫力満点♪
仙人岳の下は 白ゾレとよばれる火口壁の ガレ場。
空は青く 黒班山への草すべりの辺りは緑が多く とても同じ火口壁とは思えない・・・(ふんがぁ・・・)

 



第一火口壁と 浅間山の間、賽の河原を ザクザク歩く。





樹林帯をしばらく歩くと 問題の 前掛山登山口に到着。(きましたよぉー!)





『う~~~ん、行くべきか、行かぬべきか・・・』

登山禁止のたて看板と トラロープ。
ちがこさんの良心がぁーーーーっ・・・

ちがこさんの様子を じっと見つめる ひとしさん。

後からきた 関西系のおじちゃん、

「前掛山までなら あんたらなら行けるよ、若いんだから行ってきな!」

と 地図を出し、わざわざコースタイムまで教えてくれる。

『わ、わかってます・・・ ちゃんと ひとしさん、計算済みですからぁー』

次の瞬間、ちがこさんは トラロープを潜っていた・・・





あ~ぁ、始まっちゃいましたよぉー・・・
ちがこさんの無謀なる挑戦がぁー・・・(や、やめたほうがいいんじゃない?)

って、今回は ちょっと違います。
それはね、 ひとしさんも ちがこさんに同意見だということ
これより先は 自己責任の下、ルール違反の登山をするんですから 死ぬときゃ一緒だ ひとしさん!
時間さえ押さなければ がんばって先に進める。
覚悟を決めた。

下山時間を考え ピッチを上げて浅間山を登る。(うりゃぁー!!)
富士登山で鍛えたせいか ジャリジャリ山には慣れてる ひとちが。
同じように 無謀なる山行をしている登山者が何人かいる・・・





山肌には すでに秋が・・・
高山植物が オレンジに色づき 黒い山に綺麗な オレンジ色の水玉模様を作っている。

ザクザク ザクザク ザクザク・・・

早い、早い、予想を上回るタイムで 前掛山の分岐に到着。(よっしゃ!)
ここにもまたシェルターが・・・
緩やかな登りと横移動で 前掛山に向う予定が・・・(へっ?)

キラリン♪
ちがこさんの目が光る!

「あれぇー? 山頂に登山者がいる!」

分岐を直登りし、火口に向かって登山者が歩いているのだ!
振り返って ひとしさんの顔を見て うなずく ちがこさん。
そう・・・
ひとちがは な、なんと 山頂を目指すことにしたのだ!(ダメじゃん!)

いつもなら 慎重派、安全派の ひとしさんだが 今日は違う、トラロープを ちがこさんと潜った瞬間から 生死を共にしようと決意してここまできたのだ。
同じガスを吸い込むはめになるのなら 前掛山の山頂より 浅間山の火口近くの方がいいじゃん!(また そんな危ないコースをとろうとする・・・)

自己責任とはいえ 危険な火山ガスの吹き出る浅間山、いつ噴火するともわからないと ヘルメットまで持参してきた。(そう!そう!!)
しかぁ~し、ヘルメットじゃぁ 火山ガスは防げない・・・(ぶぅ。)
防毒マスクを用意すべきだったと ちがこさんは心の中で思ったが 後の祭り。

風向きは ひとちがの背中を押すように 左から 右に流れている。
時折 風がやむと 火口からは 真っ直ぐに噴煙が立ち昇る。
火山ガスは 目に見えにくいため タイミングをはずせば 間違いなくガスを吸うことになるだろう・・・





一気に山頂まで登る。
後1mの所で 足が止まった。
強烈な ガスの臭いで 息ができないのだ。
目も痛い・・・





息を止めて 火口の前に立った!

そこは・・・
地獄の穴だった・・・
音もなく 広がる異様な光景・・・

ぐわぁぁぁぁーーーーーっ 
なんじゃこりゃぁーーーーっ!






火口の底や 壁からは 黄色とも白ともいえぬ ガスが噴出している。
火口の底に溜まったガスは 風の流れで上昇し、視界は白くガスを吸い込めば お陀仏であ~る。(こわぁ~い、、、)





 

大急ぎで2m程後退、それでも臭いは強烈なため 呼吸困難になりそうだ・・・
息を止め再び火口の前に立ち セットしてあった高速連写モードのカメラで 火口内部を撮影する・・・

撮れているか 撮れていないかは 後のお楽しみとして、早々にこの場を立ち去らなくては・・・
気が焦る。
反面、もっと見ていたいような気もするのは 人間の欲?





ちがこさんは 火口と 2mほどの後退を繰り返し 意外と恐怖を楽しんでる。

「なぁ~んだ、火口の中に ドロドロした溶岩があるのかと思ってたのにさ!』

と、とんでもない・・・といった顔で ひとしさんが言う。

「ちがこさん 溶岩がドロドロ溶けている状態なら 暑くてこんなに近くまでこれるわけないでしょ」

は はい、そうですな・・・(オバカな ちがこさん。)

ガスはその間にも 風に流れ火口内部は よく見える時もあるが 白く真上にガスが立ち上った時は最悪だ。
息が苦しいし、目が痛いし、息がまともにできないもんねぇー・・・

チャンス到来
ガスの切れ間をみて 最後に マックス火口近くまでアタック、手取りモードで ひとちがの姿をカメラに収めることができた。

嬉しさに思いっきり がはは!! と笑う ちがこさんとは対照的に ひとしさんは 息を止め 耐えている・・・(ははは・・・)





もう二度と 浅間山のトラロープを潜ることはないと思う。
ひとちがの 登山人生の中でも 強烈な思い出の 一枚になった写真であ~る。

さ~てと帰りますかぁー!!
一刻も早く この場を立ち去りたい ひとしさん、下りは早い。
前掛山の分岐にある シェルターが 転がった空き缶のように 小さく見える。





登りは 火口の中にばかり目が行って 周りの景色を楽しむ余裕がなかったが 下りは 火口を巻くようにして壁となっている 第二火口壁の 前掛山、賽の河原をはさんで 美しい姿で立つ 第一火口壁の 黒班山と外輪山たちを眺める・・・

 

ほぉ~んと 素晴らしい眺め・・・・

 

ジャリジャリ登山道を下り樹林帯から湯の平口に向う。
ここからは 草すべりの急登を経て トーミの頭から中コースを帰路する予定。
時間は午後1時30分。
ひとしさんが予想していたよりも ずっと早い山行時間でスムーズだ。(やったね!)

そりゃ そうだ。
一世一代、噴火活動の火口を 命をかけて覗くことができたんだから 無事生還しなきゃ意味がない!
足の 遅い ちがこさんだって がんばっちゃうのは当然のこと!(ははは、、、)

で、でもね・・・
ここからが また辛いわけ。
草すべりってさぁー、すっごい急なんだもん。(涙。。。)





半分 泣きベソをかきながら うりゃうりゃ登る。
後方には 前掛山が どでんと構えている。
終わりかけの 花たち混じって カモシカの姿も・・・

  

ふぅーーーーーっ。
ようやく トーミの頭に。(お疲れぇー!)
がんばっちゃったね、ひとしさん。





樹林帯の中コースを惰性で歩き車坂峠に到着。





駐車場にある 車坂高原ホテルの立ち寄り湯で汗を流す。





夜になると 駐車場からは 小諸の町の 夜景が美しく輝いていた。





そ、それにしても さぶぅ~~~い。

その夜、自然観察センターの駐車場に 車中泊。
翌日は 道を挟んで反対側の 篭ノ登山を山行することにしよう♪

 はぁぁぁ・・・・っ。
秋だからってさ、そんなに寒くないと思ってたけど 超サブイじゃん!
シュラフだけじゃ 寒くて眠れず、使い捨てカイロを持ってこなかったことを 後悔する ちがこさんであった・・・





夜空には 満天の星、天の川 も見えたよ。(うひ!)


翌日の山歩きはこちら


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