2012/2/11
命あっての!
武尊山
(越後山脈エリア)
全山行 281回
標高 剣ヶ峰山 2020m
天気 雪
山行時間 3時間
*夏場ならリフトから剣ヶ峰山までは1時間かからないで行けると思います・・・
〈コース〉自宅(3:30)-川場スキー場(9:30)-リフトで稜線へ(10:30)-
剣ヶ峰山-リフトで下山(1:30)
大丈夫?
上から ひとしさんの不安そうな声がした。
うん、やってみる・・・
意を決して ジャンプした。
つかんだ!
一瞬そう思った。
その瞬間、木の根についていた雪がすべり
つかんだはずの手が離れた・・・
群馬県みなかみの天気予報は曇り
今回は あわよくば山頂への登頂を目指すつもりで
川場スキー場のリフトを利用して高度を稼ぐことにする
(うりゃ)
ここの所、気温の上昇、雨により雪の状態はあまり
よろしいとはいえない
雪が降れば 表層雪崩を起こす可能性も大。
(こわいですなぁー)
ハーネス、補助ロープ、ピッケル、アイゼン、スノーシューと
万全の態勢で山に入ることにした。
(よし)
チケット売り場では 登山者は必ず登山届を出さないと
リフトに乗せてもらえない
もちろ~ん 登山届も準備万端
さっそくリフトに乗車・・・と。
ところが、リフト乗り場の おじさんに言われた。
すみませんが 乗り継ぎのリフトが電気系統の故障で直接稜線に
出るリフトは動いていないんです。
500m程下ってもらわないとリフトの乗り継ぎができませんがいいですか?
えぇぇぇぇーっ?
大急ぎでお邪魔にならない場所に移動、うじゃうじゃ作戦を練る
ひとちが
どうします?
せっかく登って500mも下んなきゃならないなんて・・・
半納得のいかない ひとしさん
いいんじゃない?
500m下れば乗り継ぎのリフトあるんだしぃー・・・
チケットまで買って 行かないなんて到底考えられない
ちがこさん
散々悩んだあげくリフトに乗った
(あは。)
軽快にリフトは山の上を目指して進んでいく。
かなりサブい
見渡せば たくさんのボーダーたちが次々と
ゲレンデを滑走していく
横目でチラチラと羨ましそうに ひとしさんが
スキーヤーを眺めている
私もスキーやりたいなぁ~
これこれ
今日は山登りにきたんだから
それにしてもサエない天気
一本目のリフトから次のリフトに乗るためにゲレンデの横を
お邪魔にならないようにスノーシューでポコポコ下っていく
ゲレンデから外れれば ふくらはぎまでウマる。
パウダースノーの気持ちよい下りは楽しい♪
(うひ)
いいじゃん! いいじゃん!
二本目のリフトに乗車。
稜線方向はガスで視界が怪しい
雪予報なんて言ってなかったのにぃー・・・
ブツブツ文句を言う ちがこさん
リフトを降りた。
さ~てと どこから登るんだろ?
見渡すと奥の方に ちらりと赤テープが見えた
雪の壁を回り込み さっそく稜線方向に登っていくことにする。
(うりゃ)
真っ白な足跡ひとつない山のコブ
本日わぁー、どうやら山を登るのは ひとちがが一番のりのようです
ってことわぁー
そう!
ラッセル隊!
おめでとう
じゃないから
そんでなくても 足の遅い ちがこさん、ラッセルさせても役に立たない
ちがこさんなわけだから先頭は はっきり言って無理
(そう!そう!)
じゃじゃ~ん!
ひとしさん登場!!
こんな時、頼りになるのは マイダーリン
さぁ、がんばって登って下さいよぉー
ずぼ ずぼ ずぼ ずぼ
膝までウマリ ひとしさんは進む
でも イマイチどっちに行ったらいいのかわからない
(あはは)
後方で
それ右だとか
そうじゃない左だとか
おせっかいな ちがこさんの声が響く
ようやく ひらたい所に出た
あ゛―――
大変でした・・・
すでに ひとしさんは疲れてしまった
ここからは ちがこさんの出番のようであ~る
(うげ)
先には大きなコブがひとつ
右側には大きく雪庇が発達しているのでアブナそう・・・
雪庇に近づかないように 左側になるべくコースをとり、
木の近くを歩くことに
たぶん・・・
雪のない時期は ほとんど真っ直ぐにコースはつけられているのだろう。
稜線の中央には木々はなく、広い幅の雪道が一本見えていた。
おっかなびっくり進む ちがこさん。
なんでかって?
雪庇を踏み抜く・・・
表層雪崩・・・
ちがこさん 滑落・・・・
あ゛―――っ↓
こわい! こわい!
コブの下まできた。
ここで問題が
雪がどんどん深くなった
斜面が急すぎて登れない
一歩スノーシューで登ると 二歩下がる
三歩進むと スタート位置より下にいる
完全にサラサラのパウダースノーのヤローに遊ばれている
ちがこさん
(涙。。。)
いったい どうすりゃいいの?
呆れ顔の ひとしさん。
こりゃ 登るの無理じゃないんですか?
もう今日は諦めてヤメた方がいいんじゃないですか?
よりにもよって 懸命に登ろうと試みる ちがこさんを他人事のように
眺めているマイダーリン
(ぶぅ)
いいもん、木の間を登るから!
諦めの悪い ちがこさん、今度は ちょっとだけ木の助けを借りながら
九十九折に登っていくことにした。
(よっしゃ)
んがぁーっ!
なんとも かんとも 登りにくいったらありゃいない
足も腰も ヘロヘロ プルプルになってきた
そんでも登るのを諦めない
ひとしさんも シブシブ後をついてくる
あ゛――↓
や、やっと上に出た
ちがこさんがつけたトレースは みごとに
デタラメ であ~る
(あはは、、、)
次を歩く 登山者はきっと
なにがゆえに このコース?
と思うことだろう
いいんですぅー
がんばってラッセルしたんだから!
ちがこさん 勝利♪
ってさ、こんな調子じゃ 武尊の山頂までなんて
無理なんじゃない?
ははは・・・
確かにそうですな
ん?
登山者がきた。
スゴイ スピードで
ブンブン 登ってくる
あっという間に ひとしさんは追い抜かれ ちがこさんの横を通過、
ついでに一言。
ラッセル ありがとね!
山頂まで がんばっていこう!
おぢさんが ニッコリ笑う
はぁ。
が、がんばりますが 山頂までは到達できそうにありませんな
おぢさんは 更に加速して 次のコブをめがけて
ズボズボ 登ってていく
その早いことといったら
スゴ!
しばらく その歩きっぷりに圧倒されて 立ちすくむ ひとちが
ふんじゃ 行きますか?
おぢさんのつけてれたトレース泥棒をしながら
ひとちがも進む
雪庇を恐れていた ちがこさんであるが おぢさんの後なら大丈夫、
ちょびっと安心して進む
(うひひ)
祠に到着
剣ヶ峰の最高地点の2020mを目指す。
(うりゃ)
ここからがまた大変であ~る
見上げる程大きなコブ、これを一気に登っていく
おぢさんの体力はハンパなもんじゃない
九十九折にしか登れない ちがこさんと違い
まぁ~すぐにトレースは続く。
ほら ちがこさん、ぼけちんとしてないで早く登ったら?
足場ができているとはいえ、雪は深く崩れやすく
おぢさんの後を登るのも一苦労
あ゛――――っ↓
スゴく 大変だった・・・
とうとう剣ヶ峰の最高地点に到達
実は ここが一番コワイのであ~る
何故ならば・・・
三角に尖った剣ヶ峰の山頂は 降り口までは短いけど
両脇はキレて幅が狭い、その上 風が強く通過する際に風が吹くと
バランスを崩して滑落する可能性大
それに大きな雪庇が飛び出てる
ここで初めて失敗に気が付いた ひとちが。
ハーネスはつけてきた、が 肝心要の簡易ロープは
ひとしさんのザックの底にある、安全確保ができない。
(あらら)
出すのが面倒くさい
もひとつ気が付いた
ここまでスノーシューで登ってきたけど どう見ても
アイゼンの方が安全だ
(そう!そう!)
履きなおすのが面倒くさい
更にもひとつ気が付いた
ここでピッケル使わなきゃ いったいどこで使う?
(んだ! んだ!)
ザックにつけなおすのが
面倒くさい
そして これが一番の間違いだった
サブいから面倒なことはなるべくしたくないと しなくちゃいけないことを
わかっているのに実行しない!
そんなこと
基本じゃん!!
結果、スノーシューを履いたまま ストックで
剣ヶ峰の先っちょを歩くハメになった
(バカだねぇー)
風が
ビュー ビュー スゴイ勢いで吹き抜けていく
とても立っていられない。
(こわいよぉー)
耐風姿勢をとりたくても ストックじゃ雪斜面に刺さらない・・・
スノーシューについている爪だけじゃ
吹き飛ばされそうであ~る
ひとちが ぴ~んち!
どうにか風が収まった
山頂方向目指して おぢさんが猛烈な勢いでラッセルしている姿が
小さくみえた
あの おぢさんは鉄人だ!
さぁ~てと どうする?
なんとかここまではこれたものの 山頂までは到底行けそうにない
かといって時間も中途半端
うじゃ うじゃ 相談する ひとちが
そんじゃ この先までもう少し歩いてみようかと話がまとまった。
(やめときゃいいのに。。。)
このコース、最難関の剣ヶ峰の下り場。
それをスノーシュー履いたまんまで下った。
(あ゛―)
と、ともかくコワイ!
お尻をついて足場を確保しながら下る
急下りの上に 岩、雪、上手につかめるものがない
滑り落ちれば止まらない・・・
冷や汗が出る
ようやく安全な場所まで降りることができた
(ほっ。)
進みますか?
どうします?
ちがこさんの答えは決まっていた。
もう十分だった。
今回、自分の中で最難関であろうと思われたポイントを
通過することができただけで満足
手も足も もう限界に近い、山頂を目指せば下山時には
体力はもうないだろうと。
降りた剣ヶ峰の鋭い先っちょは反対側から見てもスゴかった
かえろ♪
見渡すと武尊の山頂方向がガスの合間から見え隠れしている
厳冬期の武尊・・・
ここでまたもや大問題
すっかり忘れていた。
降りてきたからにゃ
また登らなくちゃならん!
先頭を ひとしさんがいく
身軽に
ひょい ひょい と剣ヶ峰の先っちょに登った
ひとしさん
当然 ちがこさんも
ひょい ひょい と登っていく予定だった。
あま~い!
スノーシューは最悪であった
足場の悪い急登、先端の爪は不安定で 大きいスノーシューは
邪魔だったのであ~る
アイゼン履けばよかった・・・
後の祭り
あと一歩で先っちょに出る、そこが難関
左手にはつかむことのできる 木の根っこが、右足はなんとか力が
入る場所に置くことができた。
左足がやや不安定、力をあまりかけられない位置、ひっかけ程度。
そして問題は右手・・・
やや左よりの高い位置に つかめる丁度手頃な木の根っこ。
しかぁ~し、ちがこさんの身長では どうやってもジャンプしないと
届きそうになかった。
利き手ではない左手で しっかり木の根をつかみ、右足を踏込みながら
左足に体重をなるべくかけず
せ~の! で飛び上がり
右手で上方向にある木の根をつかまなくてはいけないのだ。
安全に登れるルートを探してみたけど それしか登ることはどうやら
できないみたいであ~る
大丈夫?
上から ひとしさんの不安そうな声がした
うん、やってみる・・・
根っこをつかむ自信はあった
意を決して
ジャンプ
つかんだ!
一瞬そう思った
その瞬間、木の根についていた雪がすべり
つかんだはずの手が離れた
きゃぁーっ!
落ちるぅーっ!!
ズルリと身体が斜面を落ちていく
一瞬 頭の中が真っ白になった
滑落するかも・・・
ちがこさん、生涯最大のピンチ!
手足が凍りついた
な、なんとか止めなくちゃ・・・
滑り落ちながら 大きく足を開き 壁にスノーシュー
を押し付ける
ガリガリ とシノーシューがこすれる音
服の上から肘や膝、ふとももが壁に激突し痛みが走った
と、止まった・・・
実際、滑って落ちた距離はそれほどのものではなかった
ありがたかったのは 大きく開いた足に履いていたスノーシューの爪が
かろうじて岩と木の根にひっかかったこと。
手にはつかむものさえなく、
危機イッパツ!
しばらく動けなかった
といっても なんとかして上まで再び登らなくてはいけない
再チャレンジ↓
息を整え もう一度同じように体制を整え
ジャンプ!
ガシ!
今度はしっかり木の根をつかんだ
やっと這いあがった剣ヶ峰の先っちょ
あ゛―っ↓
滑落しなくてよかった・・・
青空が見える
周りの山が少しずつ姿を現している
祠まで シリセードで下る。
見上げた剣ヶ峰のコブは高く、そこまで登ることが
できたことに満足だった
そして 無事下山できることを感謝した ちがこさんであ~る。
(よかった よかった)
リフトに戻る。
たくさんのボーダーが賑わうスキー場
ひとちがと数名の登山者がすれ違いに武尊を目指して登っていく。
厳冬期の武尊・・・
簡単には登れない山だと痛感した
次回は 今回の山行のメインのお話をお届けしまぁ~す♪
お楽しみにぃ~っ
翌日の山歩きはこちら