2012/3/10
ラッセル! ラッセル!
鉢伏山
(筑摩山地エリア)
全山行 284回
標高 前鉢伏山 1836.1m
天気 雪・ガス
山行時間 7時間
〈コース〉扉温泉・桧の湯(9:00)-旧営林署小屋-前鉢伏山(2:00)-
扉温泉・桧の湯(4:00)
へっ?
ここ鉢伏山ぢゃないの?
苦労して5時間もかけてラッセルして たどりついたのは
別の山の山頂 だった・・・
ヒュ~・・・
二人の間に 冷たい風が流れた。
本日向かった先は信州・松本にある鉢伏山
実はこのお山、すぐ近くまで舗装林道が走っている
(鉢伏山荘前Pに駐車すれば往復45分で登れるそうな)
冬季は林道が通行止めとなっているので 松本側の扉温泉コース、
もしくは宮入峠コースのどちらかでしか登れないのであ~る
時間的には宮入コースの方が短いけど、扉温泉からの方が確実に
登れるようなので苦労承知でロングコースを選んだ。
夏道なら 登り3時間15分、下り2時間25分。
合計5時間40分で登れる計算になる。
しかぁ~し、雪山となれば そんな簡単には登れないはず
登りに1時間以上はプラスしなければ山頂には到達できないと
ちがこさんは計算したのであ~る。
中央道、小淵沢から予想外の渋滞に巻き込まれた
雪によるチェーン規制
チェックが入る。
長くつながった車の列、二車線を除雪車がノロノロと道を塞ぎ
どうにも こうにも前に進まない
(ふぇ~ん)
結果30分のロス!
渋滞を抜けると高速は真っ白、雨の代わりに
雪がガンガン降っている
登れるんでしょうかね?
不安げな ひとしさん
松本で高速を降り 町中の松本城をチラ見しながら
山間にある温泉の駐車場へ・・・
温泉の駐車場を数人の おじいちゃんが雪かきしている
車の窓を開け声をかけてみた。
すいません、山に登りたいんですけど
車を停めさせていただけますか?
えっ?
驚く おじいちゃん。
昨日から雪がかなり降っているから
山頂までは無理だと思うよ。
そうだねぇー、行けて入口付近くらいかな?
ふ~~~~ん
大丈夫でしょうか?
益々不安になる ひとしさん
そんでも行くんです ひとちがは
(わはははは!)
温泉の駐車場に車を停めさせてもらい、トコトコ旅館の前を通過、
登山口に向かう
登山口の看板を発見、一人分のトレースがついている
おっ!
ラッキー♪
これで道迷いしなくても済みそうであ~る
(よかった よかった)
喜んでトレースに従い進むこと30m、山の中腹にあった
旅館の電気施設? らしい場所でトレースは終わった
げっ↓
目の前には足跡一つない
真っ白な雪道らしきものがあるのみ
もしかして、これってさー
だぁ~れも山に入ってないってことだよね?
昨日から雪がガンガン降っているってことは
先頭ラッセル?
そうだよ、ちがこさん。
大変だよぉー、ヤメといた方がいいんじゃないの?
(そう! そう!)
いいんです
それでも進むのだよ ひとちがは!
(ははは。。。)
降りたてのサラサラのパウダースノー、ふくらはぎ辺りまで
ウマリながらラッセルを始めた
相変わらず雪は容赦なく振り続けている
坪足♪
そんでも 意外に楽しい登り?
と最初思った
温泉から急坂を登りきるとシラカバ林が続く。
いいねぇ~っ♪
標識や赤テープもしっかりついているのでトレースはなくても
不安は感じられなかった
ズンズン進む
山腹をトラバース、わさび沢に降りた。
ここからが大変だった
沢沿いに徐々に標高を上げる。
何度か沢を右に左に渡る。
雪の積もった小さな橋は いったいどうやって渡るのか?
沢は深くもないので橋から落ちても大したことはなさそうだけど
できることなら落っこちたくない
慎重に おっかなびっくり橋をカニ歩きで渡る
登るにつれて どんどん雪が深くなっていった
ふくらはぎ→膝→ふともも→足の付け根
時々
ズボっ と踏み抜く
あ゛―
たぁ~いへん↓
坪足も限界であ~る
ここまで2時間、がんばってラッセルしてきた ちがこさん、
目指している旧営林署の作業小屋まで ちっとも到達できないことに
腹を立てていた
なんで小屋がないわけ?
もうお腹すいたしぃー・・・
(ぶぅ)
ひとしさん、ラッセル変わって!
スノーシュー装着 勢いよく歩きだした ひとしさんの後を追う
んが んが んが んが
40分程登ると ひとしさんが叫んだ
小屋はありませんが看板がありますぅー
ん?
じゃ 小屋はまだなわけ?
このペースじゃ 今日のピークは営林署の小屋に
なっちゃうよ・・・
*後でわかったことですが 旧営林署の作業小屋は数年前に
焼失したそうです。
おむすびころりんを食べながら作戦を練る
時間ギリギリまで登りますか?
足の付け根までウマり 再びラッセルを始める ひとしさん
一人なら・・・
挫けるラッセルも 二人で交互にがんばれば意外にも
進めるもんですな。
も、もうダメです・・・
ちがこさん 変わってください・・・
ひとしさん ギブアップ!
今度は ちがこさんがラッセルを始めた
スゴイ急坂・・・
ほとんど直登・・・
雪が深いので スノーシューの先端を山斜面に突き刺しながら
一歩一歩登るっきゃない
んが! んが! んが!
ん~~~が!!
尋常ない疲労感
汗ダクダク・・・
いったい いつになったら山頂に到着できるのか?
ガブガブお茶を飲む
ポンと林道に出た
やったぁーっ♪
って 林道?
そんなのあったっけ?
今回山地図がなかったので 図書館の古いガイドブックと
他の登山者の記録を参考にしましたが この雪深い時期に
登っている人は だぁ~れもいなかった。
当然、ガイドブックも夏山仕様なのであまり参考にならない。
ここで大きな間違いをしでかした ちがこさん。
林道を歩かず 更に真っ直ぐ登って 左方向へ向かわなければないけないのに
右方向に向かっている 平たい林道が正しい道と思い込んだ
最悪の状況・・・
思い込みによる 道間違え!
なんか違うような気がするんですけど?
ん?
大丈夫こっちだから!
なんでそう思うんですか?
ん?
だって 林道終点に駐車場があるはずだよ。
いつもじゃ 変だと気が付くと 先に進まず
しばらく二人で考える ひとちが。
時間も押しているので 早く山頂に到着したい ひとしさんと
ラッセルでかなり疲れ気味になって ヤケクソになっている
ちがこさんのデタラメな思い込みが仇となった
林道を進むこと1.5キロ
進めど 進めど 一向に見えてこない山荘の駐車場
(ぐぇーっ)
その上林道は じみぃ~な深さの重たい雪が積もり
スノーシューがやたら重たい
重たい空気が漂う・・・
そんでも ラッセルし続ける ひとしさん
雪はやんだ、薄ぼんやりと太陽が笑っている
喉がカラカラじゃん・・・
でも あとちょっとしかお茶ないしぃー・・・
心細くなってきた
残り少ない水筒のお茶に雪を入れて増やす
あと少しでタイムリミットであ~る
なんで山頂につかないのか?
(道間違えしてるんだから山頂につくわけないじゃんねぇ)
稜線に出た
丸いコブ山が見える。
さ、山頂だぁーっ♪
大喜びの ちがこさん
上から声がした。
山頂に先に到着した ひとしさんの声だ。
早くきてみて下さい!
最後の坂を一生懸命登る ちがこさん
うが うが うが うが
これ・・・
ん?
目を疑った
小さな看板に書かれていたのは
前鉢伏山
へっ?
ここ 鉢伏山ぢゃないの?
苦労して5時間もかけてラッセルして たどりついたのは
別の山の山頂 だった・・・
ヒュ~・・・
二人の間に 冷たい風が流れた
さぁ、かえりますよ
もたもたしてはいられない
がんばって登ってきた山頂とも
3分でおさらば!
なんとしても暗くなる前に駐車場まで戻らなきゃ
延々と林道を走る
ちがこさんの心は折れていた
あんなに がんばってラッセルしたのに・・・
報われない山登りになってしまった
一気に腰が痛くなり 足も重くなり
クジケ
恐ろしい勢いで ひとしさんが先を歩いていく
なんで早く歩けないんですか?
ん?
足と腰が痛いから。
早く歩かないと日暮れになっちゃいますよ。
ん?
だって足痛いから。
痛い足を引きずりながら無言で歩く ちがこさん
がんばれーっ!
ザックを振り振り歩いたためか、水筒の中に入れた雪は
コロコロと団子になっていた
あはは!
面白いじゃん!
足りない分は わさび沢の水をガブ飲み
(沢があってホントよかった)
ようやく扉温泉に戻った
時刻は4時、登りは5時間もかかったのに
下りはたった2時間で下った。
はや!
道間違えしたおかげで 目的の山頂まで行けなかったけど
ほぼ同じ距離だけ歩いていた。
(うっへぇー)
もし道間違いしなかったら?
ちゃんと山頂まで行けたじゃん
ひとちが!
(そうだ! そうだ!)
反省点の多い山登りとなってしまったけど いい経験になった。
(うん、うん)
温泉の雪かきしていた おじいちゃんは
桧の湯の管理人さん。
変な赤い服の夫婦登山者が ちっとも山から帰ってこないので
心配していたのだろう。
山の様子を話すと呆れていた。
地元の人間でも この時期は誰も登らないから!
そ、そうなんですか・・・
扉温泉 桧の湯
温泉は地元のお年寄りで賑やかだった
男湯では・・・
山頂まで登ったヒーロー
と ひとしさんは囲まれて絶賛されていたそうだ
(あはははは。)
別の山頂 だったけどね!
(うはははは!)
リベンジに夏時期にまた登ろう♪
今度は すえちせを連れて。
(一番最短コースで)
ニッコウキスゲが満開の時期に