中年の証明Ⅴ 後編♪
2014/09/27
トラバースの鎖は本当にあるのか?
戸隠山 西岳
(妙高周辺エリア)
全山行 424回
西岳の情報はこちら
戸隠山の情報はこちら
前編はこちら
標高 本院岳 2030m 八方睨 1900m
天気 曇り時々晴れ
全行程山行時間 11時間15分(休憩を含む)
私は落ちない 絶対死なない
私は落ちない 絶対死なない
ブツブツ・・・
前編に引き続き後編のコースの紹介から・・・
西岳から本院岳・八方睨まで稜線を歩く
難関の蟻の塔渡りを下り 戸隠神社奥社へ
鏡池へゴール
後編のコースマップはこちら
後編
紅葉で山は彩られていた
西岳から向かう本院岳の尖った峰と
奥には八方睨が見えている
稜線は切れ立った崖の横を
通過していくので気が抜けない
後のことを考慮し 少しでも時間を稼ぎたいので
休憩もそこそこに出発する
戸隠山の稜線はいくつもアップダウンを
繰り返すコースなので登れば次は下りが待っている
稜線の下り箇所は滑りやすく草を踏むと
足元をすくわれてしまうので注意
鎖がある場所は しっかり鎖をつかみ
ない場所は笹をつかんで慎重に下るしかない
ごめんね 笹
西岳からの最初の難関は
垂直の長い鎖場の降下だった
高度感はバツグンで
とても正面から降りることは不可能だ
後ろ向きで鎖に身体を預け
徐々に降下していくしかない
二人同時に鎖を下るわけにはいかないので
鎖の一番下まで下り合図する
ひとしさ~ん
いいよ~
ここでかなりの時間を費やしたと考えられる
ようやく しっかりした足元の稜線
しばし紅葉を眺めながら稜線歩き
山肌にはモコモコと錦の木々が美しく
ふたりだけの貸切り贅沢山行
こんなに紅葉がきれいな時期は
初めてですね
うん
木の近くまで行っても色が鮮やかで
生き生きしてるよね
時に崖っぷちを歩くような場所
草でズルズル滑って危険な場所もある
40分で通過できるはずのコースは
鎖場と紅葉のおかげで1時間かかった
モサモサと景色のよろしくない本院岳
丁度ガスで景色が
見えなかっただけじゃない?
そうかも
*このころ御嶽山で噴火があった模様
そんなこととは全く知らない ひとちが
ここから最低鞍部まで一端下り
八方睨まで1時間半の長丁場
地図上には「熟達者向き」と記載されているので
どんな稜線なのかわからず気が抜けない
と
これかい
「熟達者向き」ってのは
ヤブのことかな?
本院岳を過ぎると いきなり道は
こんなになる
ヤブは慣れてますけど
なんとかなりますか?
道はあるよ
迷うこともなさそうだけど
バサバサ草がひどいねぇ~
ブツブツ文句を言いながら
草をかきわけて進んだ
ヤブ地帯から脱出するまで
随分時間がかかったような気がする
目指す八方睨までの稜線は長く
本院岳からたった1時間半で
到達できるとは思えない
テンション下降
と
横に何かぶら下がっている
赤いロープを目で追ってみれば
ロープを下り横移動
その先は長い垂直の鎖につながる
登りでハンパなく体力使っちゃったから
下りの鎖も大変だよね
それでも下らにゃ
先には進めん
下った先は またもや横移動の鎖
山の傾斜はそれほどでもないが
足元が滑りやすいので注意が必要
慎重に鎖を通過
ようやく最低鞍部あたりまで
下ったんだと思う
徐々に八方睨が近づいてくると
てっぺんにある岩が大きく見える
見えてもなかなかつかない八方睨
再び稜線は歩きやすきなり
小さなアップダウンを繰り返していく
長いねぇ~
長いねぇ~
最後にひと登り
山斜面を這い登れば八方睨
ようやく人の声が聞こえる場所に
到着できた と思った
シーン
誰もいない
なんで?
賑わっているであろうと思っていた場所に
誰もいないってのはとても不思議
なんか一日中人と会わなかったね
はい 動物とも
八方睨で地図を眺め
溜息連発の ちがこさん
ちがこさんの後方には
じゃ~ん
あのコワい場所
また通過しなきゃいけない
怖気づいていたら帰れない
こーなったら行くしかない
落ちなきゃいいんだよ 落ちなきゃ
紅葉で飾られた蟻の塔渡り
ここにも誰もいないのは何でかな?
いいじゃないですか
人の事を気にせずに時間をかけて渡れますよ
でも落ちたら誰も気が付いてくんないよ
落ちなきゃいいんです
落ちなきゃ
前回の時はガスで周囲の様子は
よく見えてなかったのもある
コワいと思いつつもあの日 あの場所を
通過できたのは奇跡的だったのかもしれない
今日は視界を遮る物は何もない
スパっと切れ立った尾根は
怖さ倍増
そして今回最大の問題は下りだってこと
果たして通過できるのか?
最初の難関はここ
ちがこさんが座っている場所は
剣の刃渡り手前の盛り上がった部分
この位置までも切れ立った岩の上を這い
死ぬ思いでこの体制にこぎつけた
おおげさじゃない?
いいの
そして ちがこさんの足元の岩は細く
降下気味で手を後ろにつきながら前進するしかない
横が切れ立っているので両足で岩を挟み
前のめりになるのを堪えながら前進
左の鉄の棒までなんとか進めば
今度は岩を這う登りになる
体制を前向きに整えて
岩にしがみつき少しずつお尻で移動する
前向きに体制を整える瞬間が激コワ
移動途中に横を見るとこんな
ここをへっちゃらで立ったまま
渡る人もいるみたいだけど
ちがこさん的には信じられない
ともかく安全第一で通過するのみ
通過する前に ひとしさんと
約束したことがある
1 どんなに苦しい体制になっても
絶対岩にしがみついて落ちないこと
2 確実に安全に通過するため
尾根の上をむやみに立ちあがって歩かないこと
よっしゃ
気合を入れた
なるべく横を見ないで目の前の岩だけ
見るように努力した
声に出して呪文のように叫ぶ
私は落ちない 絶対死なない
私は落ちない 絶対死なない
ブツブツ・・・
後方で ひとしさんが言った
何ブツブツ言ってるんですか?
うるさいな
人間というのは一度怖い思いをすると
トラウマになって怖さは倍増になる
見るに堪えない情けない体制で
なんとか安全な場所まで移動
今度は ひとしさんの番
私はフツーに歩けそうですけど
や やめて
お願いだから這ってきて
剣の刃渡りクリア
先に見える杭までは一端鎖で降下し
岩をトラバースして再び尾根上部に上がる
そこから先は下り気味の細尾根を
立ち上がって歩くイヤな場所
どうする?
ちがこさん?
前回 ちがこさんが尾根の上から見たという
鎖のトラバース道は本当にあるのか?
もし あるのなら細尾根を歩かずに
通過できるかもしれない
淡い期待を持ちながら尾根上部に上がるための
ポイントまで移動する
あ あったぁー
錆び色に変色しているものの
尾根に上がるピカピカの鎖とは別に
尾根を並行して移動できる鎖を発見
なんか新しい鎖より細いし
古そうですが大丈夫かな?
先にもちゃんとありますか?
鎖の先を目で追うと
鎖は先までちゃんと張られている
うん
行けそう
あの日転落した方の友人の記録
尾根に再び上がることなく横移動
塔渡りの端に鎖で這いあがった
目の錯覚じゃなかった
鎖はちゃんとあった
あの日 転落した登山者の仲間が
道を塞いでいたから降下する鎖に
気付かなかったんだ
ちがこさんはその先の胸突き岩を越えて
尾根を歩いたんだよね
うん
危険回避するための鎖があっても
毎年必ず事故が起こるという蟻の塔渡り
無理をせず安全に通過することをおすすめする
中年の証明
よく探せば 危険な場所も何らかの方法で
回避できることを証明できた
ここで安心しちゃいけない
鎖場が終わったわけぢゃない
蟻の塔渡り直下には
かなり長い鎖場があるので注意
ほぼ垂直なので鎖に吊る下がっている滞空時間を考え
下る前に十分休憩を取ることをおすすめする
次々と現れる鎖場は延々と続くので
登りとは違う疲れが手や腕を襲う
どこまでも どこまでも
延々と鎖場が続く
それでも地道に下って行けば
いつかは鎖場も終わるわけだ
そういうこと
百閒長屋に住んでいるお地蔵さんに
よーくお礼を述べた
大変だった鎖場
大変だった蟻の塔渡り
奥社まで下ると観光客が夕方だというのに
ひっきりなしで神社は大賑わい
人と会うこともなかった山とは大違いですね
ホント ホント
鎖の謎が解けたことによって
ちがこさんにも大きな心の変化
二度と歩きたくないコースだったけど
安全なトラバースの鎖があったから
また登ってもいいかな? な~んてね
*但し 蟻の渡り先の剣の刃渡りには鎖や
トラバース道はないのでコワいよ
みなさまに最後にもう一度
戸隠山はどのコースも難関が多く危険な山です
山行計画をする場合は万全なる装備と
余裕ある山行時間を考えて行動お願いします
登山届も忘れずに提出してね
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