日本一がんばった小学生の話!

ひとちが

2009年09月08日 12:00

2009/09/05
富士山


全山行 141回
百名山 27座





標高 3776m
天気 晴れ
山行時間 12時間
距離 10.00km


〈コース〉富士宮口・五合目駐車場(5:15-5:30)-六合目(6:00-6:15)-新七合目(6:55-7:10)-元祖七合目(7:55-8:10)-九合目(10:20-10:40)-山頂(12:20-1:15)-九合目(2:30-2:40)-元祖七合目(3:45-3:50)-新七合目(4:20-4:25)-五合目(5:30)



自分の一生の中で 本当に がんばれたことは 何回あるだろう?
体の限界、そして自分の心との戦い・・・
小学校六年生の少年達が富士登山に挑戦した。
小さな話ではあるが これほど 感動できる話はない!!
きっと・・・・




まだ暗い スカイラインを ひとしさんは ぶっとばす。
マイカー規制が解除になった9月の初め、昨日の 雷雨で 透き通るように富士山は澄んでいる・・・

駐車場は 今年の夏に起こった事故(落石)で駐車場は半分使えない状態であ~る
上段、下段の駐車場は満車、ひとつカーブを下がった駐車場に車を停めた。
それにしても まだまだ富士山、登山者が多いんだぁー・・・

今日の主役は じゃりんこ登山隊
ちびっこメタボリック代表の しょうたろう選手と 保育園時代からの親友 トミーが 最後まで がんばった富士登山の話をすることにしよう





夏手前、ちがこさんと 富士山の外輪山、竜ヶ岳登山に出かけた じゃりんこ隊、富士山に登ってみたいと大きな夢を持った 
やろうじゃん! (よっしゃ!!)
六年生最後の夏は 日本一高い山に挑戦だぁー

五合目から 身支度をし、なだらかな登りの六合目までの登山道を歩きだす。
朝日が昇り始めた・・・





振り返ると 影富士が
そんなもん見たこともないだろうと ちがこさんは じゃりんこ隊に説明するのだが どうも興味がないらしい・・・
そ、そうだよね なんだかよくわからないんだよね きっと・・・(たぶん価値観の問題だと思われますが・・・)





登山者は多い、見上げれば たくさんの登山者が列を成して 山頂を目指している。





六合目に到着、簡単に 朝食を済ませ 新七合目に向う。
たくさんの登山者にまぎれ ふたりはやる気マンマンだ(いいぞ!いいぞ!)





小屋から少し登った場所に ヤナギランのピンクの花畑があった。
ちがこさんは 大喜びしているのだが これまた じゃりんこ達には興味がないらしい・・・(花には あまり興味がないようです。 ははは・・・そうだよね・・・)

 

ピッチよくふたりは先を急ぐ。(あんまり急ぐと高山病になっちゃうぞぉー!)

新七合目、しょうたろう選手、早くも疲れてきた様子。(ピンチかぁ?)

「足が 張って痛くなってきたぁ・・・」(しょうたろう選手)

身長157センチ、体重70キロ近くある彼は 普通の体格の子供とは違い、体の重さで異常に足に負担がかかる

ひとちがは じゃりんこ達に無理させないようにと 登山前に ふたりと約束をしていた。


体調が悪くなった時は 早目に申告すること。

昼 12時までは山頂を目指すが 時間を超過する場合は下山する。

一人でも 何らかの理由で登山が続けられない場合は 全員下山する。


しかぁ~し、体調の良し悪しは がまんできない場合であって ブチブチ文句を悪たれるのは 反則なのだ(そう!そう!!)
まだ 余裕があるぞ! しょうたろう選手!!





先は長い、がんばろう・・・





元祖七合目に向う。
ちがこさんが 【】 を入れたおかげか しょうたろう選手、がんばって登り始めた
ところが、なんだか 今度は トミーの様子が おかしいじゃん・・・
足元が フラフラしている。(へっ?)
さっきまで ピッチよく歩いていたのに・・・

ようやく山小屋に到着、9月に入ったので山小屋は 今日明日で小屋じまいであ~る。
すでに これより上の山小屋は閉まっている。

「トミー、大丈夫?」(ちがこさん)

「ん・・・・ 体がおかしい・・・頭も痛い。」(トミー)

目が虚ろな トミー、どうやら高山病が始まったようだ。(どうしよう?)





小さなころから 言葉少ない トミーである、顔も上げないで 黙々と登るのはいいけど 高山病は怖いからね、とりあえず 頭痛薬で様子をみることに・・・

 

次は八合目、ここが高山病にかかる人の分かれ目であ~る。
ちがこさん、ふたりに話しかける。

「八合目まではね、なんとか登れるんだよ。でもね もしそこで がまんできないような痛さや 吐き気、眠気があったら 高山病がひどくならないうちに下山した方がいいよ。
九合目まで行くと 山頂がよく見えるから 登れるって 無理でも がんばっちゃう人が多いから 諦めるなら 早い方がいいよ・・・」と。

しょうたろう選手、トミー、まだまだ がんばるらしい・・・
八合目に向う。(大丈夫かなぁ・・・)
ふたりとも ヘロヘロになって ちんたら ちんたら 下を向いて歩く・・・

ようやく八合目、トミーは相変わらず 押し黙っている。





下を向きながら ポツリとつぶやいたのは・・・

「もう、無理・・・」(しょうたろう選手)

サングラスの下は なみだ目、悔しいのと 体が辛いのと どうしたらいいのかわからなくて迷っていたのだ。

彼は とても時間を気にしていた。
間があるごとに ひとしさんに時間を尋ねる。

『12時までに山頂に到着できなければ 下山しなければいけない、でも 自分のペースでは とても時間内に山頂には行けないだろう・・・
体が辛い、もう歩くのはイヤだ
帰りたい・・・
でも・・・
僕が下山するっていったら トミーも下山しなくっちゃいけなくなる・・・
どうしよう・・・』(しょうたろう選手)  





心が揺れ動く。
しょうたろう選手、小さな頃から ちがこさんに言われていたことがあった。

「男の子は涙を 見せちゃダメだよ。涙が出そうになったら 上を向いて 涙がこぼれないようにするんだよ。」(ちがこさん)

口を への字にして 涙をこらえている しょうたろう選手。(がんばってるんだなぁ~。)
後ろで様子を見ていた ひとしさんも おもわず声が出る。

「無理させなさんなぁ・・・また登る機会はあるんだから。これがすべてじゃないんだから。」(ひとしさん)





小さな声で じゃりんこ隊が話し合う。

「トミー どうしたい? 山頂まで行きたい?」(しょうたろう選手)

「うん・・・」(トミー)

黙って立ち上がったのは しょうたろう選手だった・・・
続いて トミーもザックを背負い九合目に向って歩き出した。(ほぉ。。。りっぱだ。)





ひとちがもまた 話し合っていた。
じゃりんこ隊を このまま山頂方向へ進ませてもよいだろうか?
ふたりの体調からは 山頂まで登りきるだけの体力がないのでは?
高山病も進んでいるようだし・・・

鳥居が壊れ その柱の裂け目に たくさんのお金が刺さっている。
刺さっているのではなく 登山者が刺していくのだ。
去年 ひとちがが見た時は こんなにたくさんのお金は刺さってはいなかった。
不思議そうに眺める じゃりんこ隊、しかし その目は疲れが隠せない・・・(もう限界か?)
写真撮影の笑顔も ゆがんでいる・・・





10mも進むと しょうたろう選手は 座ろうとした。
しかし、ここで休めば 時間内に山頂は到着はできない。
トミーもまた ひどくなる頭痛と闘っている、彼はポーカーフェィスなので なかなか表情からは様子を伺えない しかし今日は明らかに顔つきが違う。





九合目到着。(よっしゃ!)
小屋の脇のブル道へ倒れこむふたり。
トミーは ザックをマクラに仰向けにダウンだ・・・
しょうたろう選手もまた 体を丸め動けないでいた。(あちゃぁ・・・)

もう下山確実か・・・
ちがこさんと目があった ひとしさんも きっと同じことを考えていたに違いない。

「どうする?」(ちがこさん)

「もう無理・・・」(しょうたろう選手)

「・・・・・・・」(トミー)

ちがこさんは 最後の手段、無理を承知で がんばれるか試してみることにした。

「しょうたろう選手、ちがこさんはね、今まで 病気で大きな手術をした時も、抗がん剤で死にそうだった時も 生きたくて、生きるために がんばったよ、負けなかった。」(ちがこさん)

その言葉を聞いたとたん しょうたろう選手 鼻をズルズルし、口を への字にして 上を向いて涙をこらえている・・・
この言葉は しょうたろう選手にとって何より辛い言葉であ~る
しょうたろう選手は ちがこさんが ヨレヨレになって半死している姿を知っているからだ





「ねぇ、トミーどうする?」(しょうたろう選手)

「いく・・・」(トミー)

無理を承知で それでもいく!」(しょうたろう選手)

ふたりは また歩き出した もうフラフラだ。(がんばれぇー)

同じように 子供たちが動けなくなり、励ます親の姿がたくさんあった。
去年も その前も 同じように子供達が がんばって登山する姿を見てきた。
かならず声をかけ、励まし通り過ぎたが 実際、保護者として子供に付き添い登山させるってことは容易ではないことを初めて知った ひとちがであ~る。





辛いふたりの状況もあったが 応援することしかできない。
ひとちが じゃりんこ隊を励まし続ける・・・

九合五勺、いよいよ 最後の難関、胸突き八丁だ
ジグザグと山頂に続く登山道を角を曲がる場所まで がんばって進む。
体が辛いどころではないだろう、高山病の進行が 更にふたりを苦しめる。
携帯用の酸素吸引機を使い なんとしても山頂まで登ろうと 同じように苦しみながら登っている登山者がたくさんいた。

「も、もうダメ・・・動けない・・・」(しょうたろう選手)

あと残す所100m、しょうたろう選手は ついに動かなくなった。(はぁぁぁぁ・・・)

「僕はここで待っているから トミー、山頂に行ってきて・・・」(しょうたろう選手)

トミーが じっと見つめる。
彼は がんばってきた親友と一緒に行きたいのだ。

時間が押している。
ひとしさんは あえて時間を言わない。
下山してくる登山者たちが じゃりんこ隊にエールを送る。

「もう そこだよ、がんばって」

みんなで しょうたろう選手を励ます・・・
歩き出す・・・
無理を承知で 歩くのだ

一歩進み座り込む、繰り返した・・・

山頂の入り口の鳥居の前に立った時、どんなにふたりが嬉しかったか!!

「やったぁー!!!!!!」






がんばったね・・・・(涙、、、)

「僕ね、昨日 友達に富士山に登るって話たんだ。でもね、みんな無理って言ったよ。先生も心配そうだった。
こんな僕でも山頂にちゃんと登れたよ。
全国、世界中の肥満体の子供たちに勇気をあげたい。」(しょうたろう選手)

そういって笑う。(可愛いキャラです。)

  

ここからがまた過酷だった。
ますますひどくなった高山病、山頂で記念撮影どころではない。

富士山の火口、そして剣が峰をすぐ前にして座り込むふたり

本来なら 剣が峰まで がんばることができれば最高だろう・・・
もう ふたりには限界なのだ

食事もそこそこに山頂を下ることとなった。





高山病は辛い! なった人にしかわからない!!(じゃりんこ登山隊)

頭痛がひどいふたりは 八合目を下れば 高山病がよくなるといった ちがこさんの言葉を信じて下り続ける。
登りよりは マシかもしてないが 下りもキツイ。(そう!そう!!)
トミーの後ろに ちがこさん、しょうたろう選手の後ろに ひとしさんと 子供一人につき 大人が一人監視できる体制で 下りの怪我の防止。

下っても 下っても 駐車場までは遠い。





ようやく 八合目を過ぎる。
トミーの様子が変わった。(ふが?)
元々 運動能力の高い彼は 疲れではなく 頭痛で苦しめられていたのだから 当然のことながら高山病がよくなれば 歩くピッチは上がる。

頭痛がよくなっても 歩くのろさが変わらないのは しょうたろう選手。(ぶぅ。)
体が重いので 滑って足をとられると 転び方がハンパではない。
膝が笑い、もう限界に到達する直前で 駐車場に到着することができたのであ~る。





時刻は午後5時30分。
丁度12時間、長い長い山行の終わり・・・
とうとうやったね、がんばり続けた富士登山






大人になった時、子供のころから親友だったふたりが 写真を見ながら 一番がんばれた小学校最後の夏の思い出、お酒を呑みながら笑って話す日がくるだろうか?
これから先 たくさん辛いことや 苦しいことが たくさんあるはず。
でもね、きっと君達二人は 乗り越えることができるはずだよ!(そうだ! そうだ!!)

思い出してね、ひとちがと登った富士山のこと♪

帰路は 疲れきって 眠ってしまった トミー、まだ半分体調が戻らない しょうたろう選手と 天母の湯で汗を流し富士登山に幕を閉じた・・・


さ~てと
今度は一緒に どこの山に行こうか?
じゃりんこ隊、また がんばる!?(うひひ!)


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