春坊主 Ⅱ

ひとちが

2014年05月01日 09:32

2014/04/26

無敵のヤブルート・・・
坊主岳
(中央アルプス前衛エリア)

全山行 407回



坊主岳の情報はこちら

Ⅰ 山歩きのきっかけはこちら



標高 坊主岳 1961m  
天気 晴れ
山行時間  9時間30分


〈コース〉坊主岳登山口(7:30)-分岐(10:40)-稜線(12:10)-分岐(1:50)-
坊主岳山頂(3:15-3:30)-登山口(5:00)

これは ひとちがが歩いた無敵のヤブルートです 


*ヤブ漕ぎ・ルートファインディングを要するコースなので初心者向けではありません



正月
坊主岳に登った時
お隣に魅力的な山を見つけてしまった


仏谷
坊主岳より標高が高く2184m
なんてステキな山




しかぁ~し 仏谷には一般的なルートがなく
笹のヤブ漕ぎを強いられる山なのだ



積雪期にはかろうじて登れるものの
無積雪期は笹が深く雪が消えれば不可能に近い


それを登ろうってんだから
何を考えてるのかねぇー



いいじゃん
行ってみたいんだから



あえて無積雪期の仏谷・坊主岳周遊コース
無理やり歩いてみることにする


ヤメといた方がいいんじゃないの?


やってみなきゃ
わかんないじゃん




山崎さんとお別れし 
イノコ沢に沿って登っていく


動物くらいしか通らないのか道は不明瞭で
枯れたヤブが行く先を邪魔する
(ぶぅ)



しばらく沢沿いを登ると人工堤防
2つ目の人工堤防までくると完全に
道はなくなり沢を渡渉するしかない



入手したマニアな地図にも沢を渡渉することは
記載されているが赤テープがあるわけでもなく
どこかわからない
(げっ)


沢が増水していれば渡るのも困難
ありがたいことになんとか渡れた
(ほっ)



ちがこさん 沢に足つっこんでたじゃん


うるさい



沢を渡り対岸からは左手に 道らしきようなものが
うっすらと見えるような 見えないような



しばらく先を探ってみたけど 
とても山に登っていけそうもない


さ~て どうしたもんだか 


右手側は 急な笹ヤブ
どう見ても人が登るような場所でなく
獣すら歩いた後も見当たらない


振り返ると ヤル気のなさそうな
ひとしさんが じっとこちらを見ている


一ヶ月ぶりの山歩きですよ
何もこんな登山道も赤テープもない
コースを歩かなくてもいいんじゃないですか?

といった顔


まぁ いいです


ここを登らなきゃ 尾根には出れないわけだから
なんとしても這い登るしかない



あ゛―
ちがこさん 行っちゃったよ



本当にここを登っていけばいいのかな?


振り返りもしないで登っていく 
ちがこさんを追っかけて ひとしさんも登る



ハァ ハァ ハァ


やっと笹ヤブ地帯を抜けだして
雑木林の急登になった



ゲボ ゲボ ゲボ

後方でイヤイヤ症状を連発してる ひとしさん


大丈夫?


大丈夫じゃありません
苦しいですぅー



登りきった先で 倒木に腰掛けて
ちょい休憩することにした
(あはは。)


お茶を飲みながら ひとしさんは
こんなことを思っていたに違いない



一方 ちがこさんは これから突入するであろう
笹ヤブとの戦いに備え 準備万端



バサバサした長い髪じゃ
ひっからまって登れないもんね



きりりと髪を縛り上げ 笹ヤブに向かって突入
(うりゃぁー)



道はない 
もちろん赤テープも



しばらく登ると後ろから ひとしさんの声がする



目の前に道はない 
ちがこさんの後に道はできる
 

がまんして登ってもらうしかない




ゲボ ゲボ ゲボ

相変わらず イヤイヤ症状は続いているようだ



獣すら通らない笹で覆われた山
両手で笹を掻き分け 笹を踏みつけて
前進するのみ



深い笹ヤブに加えて 今度は倒木が行く手を阻む
歩きにくいヤブになっていった
(きゃぁー)



それでもまだ行くわけね


あたりまえじゃん
どうしても動けなくなっちゃったら
諦めることにするよ



強情だねぇー

で ひとちはどうなの?


え? 私ですか?
大変だし この辺りで敗退してもいいんですけど
ブツブツ・・・




やっぱりね
そう言うと思ったよ



進むにつれ 倒木の数は多くなり
乗り越えたり 潜ったり
おまけに笹に引っかかれたりと
困難極まるルート



そして倒木がなくなると
肩から頭以上に伸びた笹は強烈で
山の下方向に向かって首を垂れているから
登りにくいなんてもんじゃない



ぎょぇぇぇ。。。



それでも道なき笹ヤブの中を尾根に沿って
気合で登っていく
(おりゃぁーっ)



くそー
くそー



あれ?
くそーは ひとちの十八番でしょ



うるさいな
ちがこさんだって叫びたい時もあるんだよ



あ゛―
やっと追いついた




こんなだよ



失敗したのは ヤブ山に毛のタイツを
はいてきたことだ



スルスルした機能タイツならともかく 
毛のタイツってのはケバケバしてて
笹のいい餌食


穴は開くわー
折れた笹の枝でひっかかれるわー
シャレにもならない最悪状態だよ



ズボンにすればよかったね


後の祭り


それでもエラいと思ったのは
ひとしさんが ちゃんと ちがこさんの後を
ついてきたことだ



今更 元来た道を帰れって言われてもねぇー


だよね


そうは言ってもまだ先は長い
(はぁ。。。。)



笹ヤブは密度が高く 手で掻き分けても
先はほとんど見えない状態


エラいこっちゃ 



あまりのスゴさに
もうこれ以上は進めないかも と思った



積雪期の下りに使うならともかく
雪のない時期に逆方向で登るなんて無謀だよ



だって下りに使うと暗くなったら
赤テープもないし、深いヤブだし
帰れなくなっちゃうもん
坊主なら整備されてるから問題ないと
逆周りを計画したんだよ



ふ~ん



左横には坊主岳がいる
仏谷の方が標高が高いってことは
まだまだ登らなきゃ稜線上に出られない
(はぁ。。。)



心が折れ始めたころ
笹ヤブが一時終わった


神の助けか 



現れたのは歩きやすい尾根



所々にこのような物が
人のにおいがする



嬉しかったのはこれ
明らかに道は間違っていないことを確信した
(よっしゃぁー)


*後に調べてみると この辺りに合流する別ルートがあったようです



標高が上がっていくと 山肌に残雪が
ちらちらと出始めた


笹ヤブを避けて 歩きやすそうな雪の上を
なるべく進むようにする



ホッとしたのもつかの間
またもや笹の海に突入した
(ぶぅ)



心が萎え テンションが少しずつ
下がってくのがわかる


ふたりとも言葉を発する気力さえ失せてきた
ひたすら山の上に向けてヤブ漕ぎ



ヤブの中から ちがこさんが
拾い上げたのは



更に進んでいくと
今度は木に



その先には 人工的に倒されたまだ新しい倒木
赤テープも目に付く


笹ヤブがなくなり登山道らしき道
人が歩いている道だ




ところが これが ぬか喜び
しばし赤テープを辿っていくと
どんどん下ってくじゃまいか


それも どこに出るかさえわからない
(どうすりゃいいの?)


たぶんこっちも別ルートなんでしょうね


今まで口をほとんどきかなかった ひとしさんだか
思い込みの激しい ちがこさんより冷静だった


上に向かって登らないとダメですよ


そうか
上ね 上!


後ろ方向には 雪のある中央アルプス



右手前方向にはこのような山



で 進むのはこっち



緑の海原が広がっている 
カラマツが終わり 空がくっきり見た



ということはだよ
稜線は近いってことだよね

こーなったら
意地でも登ってやる
 



顔丈の笹ヤブに突入



気が遠くなりそうなほど深い



あと一息
がんばるどぉーっ




そしてとうとうその時がきた
笹ヤブの先に坊主の姿



長かった 
こんなに大変なヤブ漕ぎはしたことがない
それも一ヶ月のブランクがあった割に
随分とがんばったじゃまいか



ちがこさんエラかったじゃん
自分を褒めてあげた


右方向には すぐ先に仏谷が待っている
しかぁ~し 完全にヤブ漕ぎが終わったわけじゃない
坊主方向には 今度は下りのヤブ漕ぎが待っているのだ


*ここから仏谷まで登り1時間はかかります
往復すればかなり時間がかかる見込み




ここまで登れたことで十分満足だった
日が落ちる前に下山したいので
仏谷へ向かうことは諦めることにする


あれ? ちがこさんにしちゃー
珍しく先に進まないんだ



いいんだよ ここまでで


 ここからが本日のハイライト 
坊主と仏の危険で大変な稜線



左手には ヤブ漕ぎし続けてきた尾根



そして向かう先は



時にはこんな場所もある



で こんな場所も



ともかく細く急で 右手は崖・左手は深い笹ヤブという
やたら大変なルートなのだ




キレットの危険な場所は 深かろうと笹ヤブに




安全そうな場所は雪上を



延々と笹のヤブ漕ぎの連続



ポンとでたのは 別ルートとの分岐だった


危うくまた間違えそうになったけど
ひとしさんの目が光っていた


そっちじゃありませんよ
たぶんこっち



よーく見ると 壊れて倒れた古い標識
確かに坊主へはこっちだ



そこから先はありがたいことに
笹は刈り取られ 歩きやすい登山道


ここまで来るのにエラく汚くなった
笹のヤローのせいだ




稜線に出てから2時間近く
ようやく赤テープのついた整備された登山道を
歩くことができた ひとちがであ~る



後方には仏谷の姿



ピークまでは行けなかったけど
難関の周遊ルートを突破できたことに変わりはない


尋常ない達成感 


藪漕ぎに達成感なんてあるの?


うるさいな


出だしはシブシブ?だった ひとしさんも
安心したのか笑顔でいっぱい



最後の坊主岳のガレ場を通過し
経もまた坊主岳の山頂に立つことができた



それでは景色をご覧いただこう



残念ながら春霞で遠くの山々は
姿を見せてはくれなかった





比較のためにこの写真を



山頂の祠に手を併せ 今日も無事
ふたりで山歩きができたことを感謝



山頂から山崎さんに電話を入れる

もしもし
今山頂です



3時ころには下山するかと思ってたよ


ヤブ漕ぎが大変でこの時間になりました
少しお宅へ向かう時間が遅くなりますが
心配しないで下さい



下山したら ちがこさんのカメラを
引き取りに行かなきゃいけないんだっけね



帰路は坊主の整備された道


カメラを落とした場所には設置したままになった
チラシが木にしがみついている



チラシを設置した時はこんなだった



落ちていた場所を確認して
一気に急坂を駆け下りていく



雪でいっぱいだった正月の坊主岳とは
同じ山とは思えないような 
穏やかで優しい山に見えた



刈り取られた笹の登山道は歩きやすい



登山道を整備してくれている
里の人・山関係者の方々すべてに感謝したい


登山口に到着
ジャスト1時間30分 



やったぁーっ 



軽トラがまたもや・・・


山崎さんだ


おかえり
そろそろ着くかなと思って
家に行こう



なんで ひとちがが下山する時間に?
車に到着して5分も経ってないよね



やっぱりこのおじちゃん
透視能力者  



次回は戻ってきたカメラの中の映像と
車泊の話に続きまぁ~す

Ⅲに続く

翌日登った山はこちら



あなたにおススメの記事
関連記事