岳の山♪

ひとちが

2012年04月09日 18:42

2012/4/07

判断ミスをすれば 滑落か?
西穂独標
(槍穂エリア)


全山行 288回




標高 西穂独標 2701m
天気 ブリザード
山行時間 5時間



〈コース〉自宅(4:10)-新穂高ロープウェイ駐車場(8:00-8:30始発)-
山頂駅(9:20出発)-西穂山荘(10:45-11:00)-丸山-西穂独標直下(12:30-12:40)-
丸山-西穂山荘(1:40)-山頂駅(2:40)-新穂高ロープウェイ駐車場(3:00)









天気は快晴♪
翌日登頂した人の記録を見て ひとちがは がっかりした。


あ~ぁ、一日ずらせば 最高の展望を得られたのに!



ん?
ちょっと待って・・・


ちがこさんの手が止まった。
記録の日記部分に書かれていたのは・・・



早朝、ヘリが旋回していた、西穂独標手前で滑落者あり。
ヘリで救助に向かうが なかなか滑落した登山者を確認できず・・・




もしあの時 判断ミスして先に進んでいたら 滑落していたのは 
ひとちがだったかも。
(ひょぇぇぇ。。。)

詳しい状況はわからないけど、ひとちがと同じ日に山に向かった
人たちの誰かが滑落したのだ。



恐ろしや・・・
恐ろしや・・・・・





*どなたが滑落したかはわかりませんが、ひとちがと同じ始発の便で
山に向かわれた クマ太郎くん、お気楽隊のみなさんのご無事を
お祈りしています・・・













始発のロープウェイを乗り継ぎ山頂駅に向かう
外はガスで真っ白け
(あちゃぁー)



景色も へったくりもないのだ
観光客たちはいったい何を見るためにロープウェイに
乗るんだろうか?


まあ、いいです




本日目指すのは西穂独標、映画の撮影地でもある




コミコミのゴンドラの中に 7人の登山者がいた
単独者2名、3名のパーティー、そして ひとちがの2人
(合計7名)






駅に着くと出口の前にあるストーブのベンチで出発準備をする。
しかぁ~し、時間が経てど一向に出発しない登山者たち


なんで?


昨日降り続いた雪で すっかりコースは雪で覆われていた
観光客が歩くための周遊コースは除雪車が入り 忙しそうに
雪の回廊の整備をしている


でもね、登山道は別なのだ
そう、始発に乗ったからにゃ 誰かがラッセルをかって出ないと
いけないわけだ
(そういうわけね)


無言で周囲を伺う登山者たち・・・




はい、はい、行きますよ
今シーズンはラッセルばっかでしたからね、
慣れたもんです


ひとちが 今日もまた
先頭さん♪
 






2m程の壁が続く雪の回廊を歩く




笠ヶ岳・槍ヶ岳のパイオニアである
播隆上人の石像を見つけた

今日の山歩きの無事を祈る ひとしさん




登山道の入口に到着、予想通り誰も歩いていないコースには
くるぶし程の積雪。

コースの脇には赤旗のついたポールが立っているので迷うことも
なさそうじゃん


うが うが うが うが


アップダウンを繰り返し樹林帯の中をズンズン進んだ




あぢー・・・・


衣類調節のために小さな小屋の前でザックを下ろした。


単独登山者2名と3名のパーティーが ひとちがを
追い越していく


うひひひひ・・・



よかった、先頭ぢゃなくなったもんねぇー
やっぱ ラッセルは若い人に がんばって
いただかなければ!



ひとちが どん尻!

やったぁー♪




今日も ちがこさんの腰と足は具合がよろしくない
(ふぇ~ん)

はっきり言って ここで体力を消耗することは 腰と足にくる
ダメージが早まることはわかっている


体力温存! 温存!




そんでも ひとしさんは容赦しなかった



なんで早く歩けないんですか?


だって足が痛いんだもん


早く歩かないと独標までは無理ですよ


がんばるよ


あんまり遅いと帰りもせかしますよ



時計を見ながら時間を計算する ひとしさんは 
  鬼! 

ピッチを上げて 一生懸命歩く ちがこさん

時折うっすらと稜線の山がみえる。



独標はあそこかな?  



 しばらく行くと3名のパーティー(お気楽隊)
に追いついてしまった

彼らはカメラ撮影をしながら のんびり登りたいらしい。
今日は小屋泊とのこと、当たり前のように道を譲られた
(あは、)




 もうしばらく行くと二番手を歩く登山者(クマ太郎くん)
に追いついてしまった

やっぱり小屋泊とのこと、急いでいる様子もなく
道を譲られた
(あは、)




 コースが急登になると とうとう先頭を歩く登山者(ラッセルくん)
に追いついてしまった

すでにここまでの単独ラッセルで かなり疲れているらしく
道を譲られた
(あは、)



がちょ~~~ん!

またもや先頭さんに
なってしまった↓





最初の頃とは違い山斜面は雪がどんどん深くなり、
膝くらいの深さであ~る


が、がんばりますよぉ~っ!





ちがこさんが 渋々ラッセルを始めた
当然なかなか進まない


後方で追い抜いてきた ラッセルくん、クマ太郎くん、
お気楽隊の5名が先に進めず待ち遠しそうであ~る

でも一向に追い抜こうとはせず ちがこさんがラッセルで道を
開拓するのを待っている


ちがこさん的には がんばってるんだけどなぁ


ちょいちょい振り返る ひとしさんが 
とうとうしびれをきらした


私が先頭ラッセルします!


よぉっ!
さすがマイダーリン、そうでなくっちゃ!



一番キビシー急登りのパウダースノーを 足の付け根までウマリ
ひとしさんが進む


んが! んが! んが! んが!



ええ~い!
もう ヤククソだぁー


んがぁーっ!!

そして、ついに力尽きた チーン♪ 


もうダメですぅ。
ちがこさん、変わって



へっ?
私また ラッセル隊?



ブゥブゥ言いながら 山斜面を登っていく




あと一息で小屋だぁー! 


という場所で ちがこさんが力尽きた チーン♪ 


一番美味しい所は どん尻で登ってきた お気楽隊に
抜かれてもっていかれた
(あはははは。。。)

こんなもんです





小屋に到着、森林限界を抜ければ かなり吹雪いている



ほぼ同時刻についた クマ太郎、お気楽隊は アイゼンを外し
小屋の中でくつろぎ始めた


えっ?
みんな独標に行かないの?



小屋の前で吹雪かれながら おむすびころりんを口に 
へしこみ腹ごしらえ


装備を整える。
止まっていると身体が凍りそであ~る


よっしゃ!
準備OK!!



と。


ちがこさん、どっちに進むんでしょうね?


えっ?


ひとしさんの 拍子抜けの発言



確かに これだけ吹雪いていると よほど目標物がないと 
どこを登ったらいいのか よくわからないけど

地図で見る限りは 小屋から尾根を真っ直ぐ登るはず





除雪をしていた小屋の人に声をかけてみる。


すみません、これから先にはコースの目印になるものは
ありますか?



期待しないで下さい、稜線はかなり風が強く赤旗のついた
ポールは吹き飛ばされてない可能性が高いです。
今日はかなり荒れているので危険、自己判断で十分注意して
歩いて下さい。



えぇぇぇーっ!
自己判断?
危険?


とたんに青ざめる ひとしさん



ひとちが、ここまで先頭で歩いてくれた ラッセルくん
意外は小屋泊であ~る

余裕の彼らは これまでの疲れを癒し休憩を楽しんでいる。


そうだよね、明日天気がよくなってからだって独標までは
行けるんだから



もたもたしちゃおれん!


日帰りの ひとちが&ラッセル兄ちゃんは 猛吹雪の中を独標
目指して進むっきゃないのだ
(ふんがぁー)





先頭を切って ひとしさんが行く
誰も登っていない急登のコブを登りきるまでは
ラッセルであ~る


かっちょいいよ!
ひとしさん!



続く ちがこさん



登りきる手間で 気が付いた

山の斜面はすでにコチコチのアイスバン、アイゼンは当然のこと
ながらストックぢゃ太刀打ちできない


ピッケル出動!



なんじゃ かんじゃと もたもたしている間に 
ラッセル兄ちゃんが先頭となった





稜線に出た。


猛烈な風!
こりゃ台風にも匹敵する・・・




と。


先頭を歩いているはずの ラッセル兄ちゃんが
下ってきた


どうしました?


風が強すぎて敗退です・・・



えっ?
行かないの?



またもや先頭さんに
なってしまった

(うがぁーっ)





アイゼンの爪をきかせながら 一歩一歩慎重に
進んでいく

稜線はひどいブリザード、フードを深々とかぶり 
ひとしさんが先頭を歩く


ちがこさんは ひとしさんのアイゼンの爪痕を頼りに
下を向いて登っていく

あまりのブリザードのひどさに下を向いていないと顔が
凍りつきそうだから





ここで気が付いた


今日は目出し帽してない!


きゃぁーっ!
どうしよう!?



今更、ザックを下ろし凍りつきながら目出し帽をかぶるなんて 
めんどくさい
(これが大きな間違いであった)


仕方ないから ちがこさんの低い鼻はかろうじてアウターの
襟にしまった
(これでなんとかなるかな)




そしてもうひとつ気が付いた


ブリザードなのに
ゴーグルしてない!



きゃぁーっ!
どうしよう!?



今更、ザックを下ろし凍りつきながらゴーグルを出す
なんてゴメンだ
(これも大きな間違いでした)




とにも かくにも 歩かないと身体が凍る、風も強いが
体感温度は間違いなく氷点下15度以下なのだから
(ぐぇーっ)





丸山に到着
何も見えない寒々しい丸山・・・

標識についたエビのしっぽが 風の強さを物語るのみ



どうします?
独標まで がんばりますか?



独標までは稜線の一本道のはず、このまま歩けば行けない
こともないだろう。

しかぁ~し、夏道を歩いたことのない ひとちがにとっては 
一本道とはいえ 初めての道はやっぱり不安


だって 恐ろしい程の 
猛吹雪なんだよ!




どうしよう・・・

うじゃうじゃと相談した結果、進むことにした
(やめときゃいいのに・・・)





しばらくすると頭の上から ひとしさんの叫び声


道がありません・・・


ブリザードで視界はほぼ0、足元もほとんど
見えない状況


明らかに状況は益々悪くなっていく一方であ~る
(どうすんの?)


しばし立ち止まり じぃーっと目を凝らしながら 
稜線のルートを探る。




あっちかな?


晴れていれば 間違いなく の世界、青い空と素晴らしい
雪山の景色

どんなに素晴らしいことか


今日は真っ直ぐ進むのにも 方位を確認し、雪庇に乗らない
ように慎重に進むしかないのだ


あ゛―――っ↓
誰もこない・・・



ブリザードの中を強行突破したおかげで 目出し帽、ゴーグルを
していない ひとちがは大変なことになっていた



まつ毛、髪の毛 露出している部分すべてが凍り 前が見えない



ひとしさんの高い鼻は 凍傷


 
帰宅後の ひとしさんの凍傷の様子・・・



み、道がありません・・・

顔が凍りつき言葉を発することも困難になってきた ひとしさん







岩がゴツゴツしてきた。
危険地帯に突入したようだ


ハーネスに簡易ロープ、安全確保をして岩場を進む



ここまで使った体力と 腰と足の痛さのためか 思うように
足が動かない ちがこさん



ひとしさんにつないだロープだけが 心のよりどころ


安心感が違う! 




不安定極まりない岩場を下る


ずるりんこ!


ピッケルを使っているものの、ヨレてる ちがこさんは
何度も滑り落ちそうになる


あ゛―っ↓
怖かった・・・




ブリザードの切れ間から巨大な岩が目の前に浮きでた


うぉぉぉーっ!
独標だ!!




とうとう独標直下まできたのだ

うっすらと岩を巻くようにしてついているルートが
見えている


これ以上進むべきなのか?




たぶん・・・

このまま独標に進めるかもしれない、でも独標まで登りきれた
としても当然展望はない

更に危険な岩場を登り 危険を冒して それを下る必要があるのか?


危険だ・・・
危険すぎる・・・



言わずとも 二人とも同意見だった


独標直下まで この悪条件の中 がんばって到達できたのだ。
これ以上のものなんていらない
(そうだ! そうだ!)


命が一番!


いいじゃん
またピーカン晴れの時に来ようじゃないの♪





恐る恐る元きたコースを登り返す
視界が悪い・・・




ん?
登山者だ


若いカップルらしい。
(フードをかぶっているので お顔がよく見えません)
ピッケルではなく ストックで ピョンピョンと
岩場を越えてくる



実に軽快な足取り
まるでバンビのようであ~る


それに引き替え ちがこさんの 鈍クサイことといったら

何度も滑っては ひとしさんに確保してもらい 
ヨレヨレじゃん
(情けないですな)


この先は危険ですよぉーっ!


怖い思いをしたので 急いで ちがこさんが
警告を発する。
(ひとちがは退散ですな)




うじゃうじゃ バンビたちは相談しているようだったが
進んで行った。
(スゴイですなぁー)


どこまで行くんだろうか?
気をつけてね!






下山を始めてすぐ 先頭を歩く ひとしさんが叫んだ


進んでいる方向が違うようです・・・


ちがこさんも なんとなぁ~く さっき歩いた岩場と違うし 
微妙に方向が違うような気がしていた

しばし立ち止まり 時計で方位を確認しながら うじゃうじゃ
作戦を練る




あれ?
さっきのバンビたちが戻ってきた。
やはり危険と判断し、戻ってきたようであ~る


この方向じゃないですよね?

ひとしさんが声をかける。


そうですね、こっちじゃなくて もう少し左に
上がった方向です。



そう告げると 軽やかな足取りでバンビたちは 
ピョンピョンと行ってしまった
(はや!)





ノロノロ下山していく

ガスの中に登山者の姿発見

朝、ロープウェイから山荘までご一緒した 
クマ太郎くんだ
これから独標に向かうらしい。


クマちゃん 気をつけてね♪




丸山が見えてきた


あれぇー?
ラッセルくんが バンビたちに連行されて
下山していくよ!





一度は風が強く山行を断念した ラッセルくんであったが諦めきれず 
ここまで登ってきたもののやはり独標までは諦めたのか
(あはは。)


ハーネスから簡易ロープを外す





1時間ほどで山荘に到着、休む間もなくズルズルと下る。
次々と山荘を目指して たくさんの登山者が登っていった

明日、独標を目指すのだろうか?



足が猛烈に痛い



登ったからにゃ がんばって下らなくちゃね
ちがこさん

はい、はい、そうですな





ようやく山頂駅に到着、ほたかくんにも会えた





偶然、バンビたちともロープウェイで合流

フードを取った素顔は 石田純一によく似た ステキな男性、
しんのすけくんと 可愛らしい山ガールの ウララちゃん


             しんのすけくん&ウララちゃん


まだ登山歴1年だって
スゴイね、こんなに怖い雪山を登ってきた 若い二人に乾杯♪


ゴンドラの中でふたりとしばしお話をした
今回は やはり 独標直下で下山したことは 大正解
雪山初心者としては よい判断だったかと
(うん、うん)






また晴れた日に登ろう ひとしさん
素敵な北アルプス 岳の山 にね♪




帰りに ひとちがが立ち寄ったお風呂はこちら 平湯の森


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