2014/06/06
遭難の報告・・・
悲しい現実
亡くなられた登山者の方のご冥福をお祈り致します
笊ヶ岳の情報はこちら
まずは みなさんにお詫びしたいことがある
笊ヶ岳には登山ポストは
ちゃ~んとあった
*老平ゲートの右にあるそうです
登山届は必ず提出を
笊ヶ岳 初日の様子
笊ヶ岳 二日目の様子
遭難事件のあらまし
GW一日前5月2日(金)
一足早く笊ヶ岳に入山した
前日に笊に入山した登山者は2名
どちらも単独の若い登山者であった
桧横手山の手前辺りの急坂を
死にもの狂いで登っている時 すれ違う
当日 布引山までテントを上げたのは
ひとちがと単独登山者の男性のみ
翌朝3日笊の山頂までピストン
テントをたたんだ
下山時 先行して歩く単独登山者の後を追い
正規ルートから大きく外れ 遭難しかけた
先行した男性は夜になっても登山口には戻らず
遭難を疑い警察に通報
2日後 この男性は自力で下山したことが判明
ほっとした矢先・・・
新たな遭難事件発生
ひとちがが下山した3日のことだ
当日 笊ヶ岳に向けて登っていた登山者は
12名ほどだったと思う
その中のひとりと思われたが
詳しい情報がなくなすすべもない
そして昨日 登山者の方から
コメントをいただいた
内容は
こんにちは。桧横手の下ですれ違った単独行者です。
本当に迷いやすいルートでしたよね。無事で何よりでした。
残念ながら桧横手に幕営された犬連れの単独行者は、
先週末になって釣り師に発見されました。
ところで老平の登山ポストはゲートの右脇にあります。
先週も登りに行きましたが、布引山まで夏道が出ていました。
もう迷う人はないと思いますが、尾根の分岐のあたりなど、
もう少し道標が欲しいところですよね
コメントを下さった
ほしさんのHP山行の記録
*後にわかったことですが ほしさんは初日に下山してきた
若い登山者のひとりでした
そういえば・・・
山を下って行くとき 確かに犬を連れた
単独の登山者とすれ違ったっけ
カーブ地点付近だったから3時半をまわっていたはず
登山道脇に所々テントが張られていた
この時点では かなり時間が押していたのと
疲労とで すれ違う登山者と会話もなかった
人間でも大変なのに 犬もさぞかし大変だろうな
それにしても これからどこまで登るんだろう と
見送ったことを思い出した
情報によれば 桧横手にテントを張ったとのこと
たぶん5時ころに到着だったはずだ
遭難した方のその後の行動は不明だが
9日の朝日新聞にはこのような記事
東京の50代男性 笊ケ岳で遭難か
南部署は9日、静岡県境にある早川町の笊ケ岳(ざるがたけ)で、
東京都新宿区の50代の会社員男性が遭難した疑いがあると発表した。
県警ヘリコプターが上空から捜索したが見つからなかった。
署によると、早川町雨畑の無料駐車場に車が1週間近くとまっていたため、
近くの住民が遭難を疑って通報した。
男性は登山愛好家で、2日ごろに家族に
「連休明けには戻る」と連絡をしていたという。
10日は署員と男性の登山仲間も加わり、登山道周辺を捜索する
実際 この時
こむちゃん が笊に登って
捜索隊に遭遇した
これらの事柄を整理すると
遭難した日から ほぼ1ヶ月後
ようやく遭難者は発見されたことになる
ご家族の方も眠れない日々を送ってきたことだろう
見つけた人は
釣り師とのことなので
沢の近くで発見されたか?
ひとちがが遭難しそうになった時のことを
もう一度振り返ってみよう
これが道間違えしてコース修正したルート
地図をごらんいただいてわかると思うが
左側に布引大崩から続く稲又谷(登山道には合流できない)
右には老平方向の登山道に沿う奥沢谷がある
どちらの沢方向に向かっても当然道はなく
深い樹林帯 迷宮の世界だったはず
道間違いしてトレースをつけてしまったポイントは二ヶ所
小ピークと2300m降下地点
ということは 遭難者はこのどちらかのトレースを
追っかけて道間違いしたのではないか?
ご存じかと思われるが 雪のある時期の笊ヶ岳は
ともかく不明瞭で 道標・赤テープは少ない
特にその付近は道間違えしやすく
毎年のように遭難さわぎがあるそうだ
それでなくても少ないトレース
小ピークから間違え下ったポイントには
少なくとも3人分のトレースがついていた
小ピークから 下向きの靴跡を追っかけて
正規ルートと判断して下ってしまったのか?
2300m降下地点には 修正して這い登ってきた
ひとちが2人分の上向きのトレースがあったはず
登りの登山者のトレースと間違えて
老平に下る正規ルートと判断してしまったのか?
いずれにしても ついたばかりのトレースだから
たどる=正規ルート
と思われても仕方ない
二ヶ所のポイントのどちらかで 間違ったトレースを追い
深い樹林帯に迷い込んでしまったとしたら・・・
そう考えると心が痛む
下山時 かなりタイムロスしたのと疲労で
すれ違う登山者の方にも適切なアドバイスできなかった
(数名の方には下山時 道間違えしないようにお話しましたが)
今は夏道となり 迷うことも少なくはなっているとは思う
しかし侮ってはいけない
GWより少し後に別ルートから登頂した
モリちゃんの記録
こちらもかなり壮絶です・・・
モリちゃんからは 遭難者に関する違う情報も頂いた
山梨トピックス6/1より
2014年06月01日(日)
南部署が31日、早川町雨畑の堤防で倒れている男性の遺体を発見し、
県警のヘリコプターが収容。
5月9日から同所の笊ヶ岳(ざるがたけ)(2629メートル)に出かけたまま
行方不明になっている東京都新宿区の50代の
会社員男性の可能性があるとみて、身元の確認へ。
う~ん
雨畑の堤防ってことは
やはり右の沢方向に進んだのか?
どちらにしても生還し 下山できなかったことは
とても残念なこと
今年の冬には また雪は降る
そして笊ヶ岳に登る登山者は必ずいる
トレースがあっても信用しないで
自分でコースを探り判断すること
もし道間違えしたら 絶対に先には進まないで
確実にわかるポイントまで引き返す勇気が必要
冒険しよう
でも危険はダメ
自分の技量に合った山選択を
追記として ほしさんからコメントが届いた
発見個所は稲又谷の堤防ということです。
C2400かC2350を直進して下ったか
西側崩落地を滑落したかのどちらかかと思います。
ほしさんの笊ヶ岳道迷い検証
*遭難された方の詳しい道迷いの分析をしてくれています
そうか・・・
右側の布引大崩の先の沢で発見されたんだ
それにしても道迷いの検証のために
笊にまた登るなんてスゴい人だ
その後の ほしさんとメールでのやりとり
☆ちがこさんから☆
ひとちがです。
じっくり検証を読ませて頂きました。
私がブログにアップした地図は正確な物ではありませんが
ほしさんの地図を見させて頂く限り まさに迷った場所であると確信しました。
検証して下さった通り、あの時のC2400からは腐れ雪の深い急斜面で
ややトラバースしながら恐ろしい思いで下ったことを思い出しました。
当初は「下る」という意識しかなく 道を外していることにも気づかず
雪のない時期なら下るのは到底無理ではかなったかと。
(雪のない時期なら斜面から転がり落ちそうでした。)
延々と下り雪も消えかけた2000m付近で道間違えであることに気づきました。
右に布引大崩と青薙山方向の稜線が見えたときは仰天し あたふた・・・
大急ぎでC2264に向かって尾根を登り返しました。
運がよかったのはC2400の小ピークが見えたことです。
時間がかかろうとわかる場所まで確実に戻ろうと決めました。
尾根に出るまでは雪のない場所は急な上、ヤブで足場のよい場所を
選んで這い登り、尾根に出てからはC2350の分岐についた赤テープを
必死に探し ようやく見つけた時は正規ルートに戻ったことを確信
ホットしたことを思い出しました。
ほしさんの検証を読む限り やはり遭難した方は私たちがつけた
トレースを追ってしまったのではないかということです。
2000m付近から先は雪が消え下り続けることは トレースなしのヤブの
迷宮路だったはずです。
この遭難事件前の 私たちが遭難と早とちりした登山者の情報は
警察に地図上で細かく説明しました。
(道迷いしたポイント等も 3日下山後夜半)
正規ルートに戻ってからは時間の焦りの方が大きく、余裕もなく
登ってくる登山者の方にすべて「道迷いの注意」をすることもできませんでした。
遭難で命を落としてしまった登山者の方とすれ違った時もそうでした。
一言「ルートから外れているトレースがあるので追わないように」と
アドバイスできていたなら遭難は起こらなかったかもしれません。
私達も今回の山歩きで学ぶことがたくさんありました。
ほしさんのようにキャリアもなく知識や技術にも欠けている登山者ではありますが
これからもアンテナを張ってしっかり山を歩きたいと思います。
ほしさんのHP、リンクさせていただきました。
これから笊ヶ岳に登頂される登山者の参考になってもらえれば嬉しいと思っています。
本当にありがとうございました。
ちがこさんより
☆ほしさんから届いたお返事☆
ひとちがさま
メールありがとうございます。
遭難者の発見場所から、尾根の分岐で迷ったと推察されますが、
仮に3人分の間違いトレースが道迷いのきっかけになったにせよ、
雪がない所まで下ってヤブであればお二方のように登り返す手立てはあったのですから、
遭難の原因は、遭難者本人の問題(地図を確認せずトレース頼みで進んだ、
登り返す体力がなかった、ビバークできる非常食を持ってなかった
等が考えられます)と思います。
今後、同じ道迷いが発生しないようにという、お二方の真摯な姿勢に感銘を受けました。
笊ヶ岳に登ろうとする人にはぜひこの事例を教訓にしてほしいですね。
捜索に当たられた都岳連の方からは、当日の目撃情報なし、とのことでしたが、
実際には同日に12名くらい登られていたとの事、
警察からその方々の登山届の連絡先へ問い合わせして何かわかっていれば、
あるいは、今回の様なネットワークが早い段階でできていれば、
初期捜索で見つけることができたかもということを考えます。
5/1は私も登山届は出さずに登りましたが(5/31は出しました)、
自分のためだけではなく、人のためにも出す意味があるんだと初めて認識しました。
お二方はかなり歩かれていらっしゃるようですので、
いずれどこかの山でまたお会いする日もあろうかと思います。
お互い事故の無いように山を楽しみましょう!
星征雅
私達のメールのやりとりを読んだ
みなさんはどのように感じただろうか?
山に入ることは どのような場合でも
危険と隣り合わせ
だということを忘れてはいけない
GWの笊ヶ岳遭難事件をきっかけに 同時期に登頂した人たちの
声や情報を得ることができた
これは警察や共に捜索した仲間たち意外にも
身近に協力者となり得る山ヤがいるという事実
遭難は悲しいこと
山は好きでも 遭難したら 家族や友人悲しむ人がいることを
忘れずに慎重に行動しましょう
声を上げよう
遭難は一刻を争う場合が多い
ひとつでも多くの情報が寄せられれば
最悪の状況を回避できる時もあるかもしれないのだから