2014/07/12
大変な山歩き第二弾!
笹山 (黒河内岳)
(赤石山脈南部エリア)
全山行 416回
笹山(黒河内岳)の情報はこちら
大変な山歩き第一弾はこちら
標高 南峰 2717.6m 北峰 2733m
天気 晴れ
山行時間 11時間30分
*内、山頂で倒れていた時間 1時間30分
〈コース〉自宅(2:00)-奈良田温泉駐車場(4:30)-吊橋-トンネル通過(迷)-
第二発電所登山口(5:00)-ダイレクト尾根へ-水場/1603m(7:00)-テン場/2300m-
南峰-(9:30-9:40)-北峰(9:50-11:30)-ピストンで駐車場(4:00)
4年ぶりに髪を切った
腰丈ほどの長さ
伸びた髪にハサミが入る
バサ
髪が床に落ちた瞬間
暑い夏の扉が開いた
ひとちがの持っている2009年版の「山と高原地図」には
ダイレクト尾根コースの記載がない
現在の地図には破線ルートとして記載はあるが
破線ルートゆえ コースタイムの記載もない
これじゃ
役立たずぢゃん
こーゆー場合 山友たちの記録を
参考にに登るしかないわけで
コースタイムって 個人差あるよね
あまり参考になるとは思えないけど
まぁね
果たして日没までに
下山できるのか ひとちが?
奈良田温泉の駐車場に到着
2007年の夏 白根三山を縦走した時に
車を停めた場所だ
バカに混んでますね
連休ともなれば混雑していても
何の不思議もない
今日はフツーの土曜日
特に天気もすこぷるいいってわけでもない
おかしいですね
でも車停められてよかった
横で出発準備をしている おじさんが教えてくれた
昨日の台風で芦安の林道が崩れて
広河原へは奈良田側からしか入れないからだよ
へぇー
そうなんですかぁー
妙に納得
ひとちがは ウハウハだった
何故ならば
本日登るお山は
バスに乗らなくてもいい
奈良田湖の真ん中にかかる吊橋を渡り
ちがこさんが 一度はヨロけて
足を突っ込むであろう渉渡地点
私先に行きますね
そう言うと ひとしさんはピョンピョンと
石の上を軽やかに渡って行く
あれ ひとち行っちゃったよ
ちがこさんは行かないの?
え゛?
行く! 行く!
ここは 過去 〇むちゃんが落ちたという
伝説の渉渡地点
だよね 〇むちゃん?
ちがこさんも落ちない保障はない
落ちるかも・・・
落ちるかも・・・
バクバク高鳴る鼓動
自分に言い聞かせた
笊の沢よりマシじゃん
そう そう
渡りきるとトンネルが目の前にある
ここを通過すればいいんですか?
いつものごとく 何の山調べもしていない
ノーテンキな ひとしさん
入口には鎖が張られ「
立ち入り禁止」の
赤い看板がぶらさがっている
黒くブキミに口を開けたトンネル
ありゃ? トンネルを通過するなんて
誰かの記録にあったっけかな?
まったく記憶にない
ふと横を見ると
こんなもの
あ~
「電気つけろ」ってことね
じゃ 進もうかっ!
ちがこさん ちがこさん
本当に通過していいの?
「立ち入り禁止」だよ
いいの! いいの!
パチン
スイッチを入れると
更に気味悪いトンネル
速足で通過
ポンと出た場所は
なんじゃい
これじゃ せっかく渡った湖を
また渡り返しちゃったじゃん
横には 額に怒りマークの
浮き出た ひとしさん
「立ち入り禁止」って看板があるんだから
違うんじゃないかと言ったのに
まぁ まぁ
Uターン
正規ルートのある第二発電所の横から
ちょっと暗い登山口に向かった
ここからが勝負
登山口の標高は750mほど
山頂の標高は2700mちょいだから
2000m近く登り続けるってことになる
山頂まで どれほどの時間で
到達できるんだろ
大丈夫? ひとちが?
全然大丈夫じゃないですぅー
ちがこさんのノロノロ歩きで
日没までに本当に下山できるのか?
山の中腹にある発電所施設の最高点までは
植林帯に鉄の手すりがジグザグにつけられている
それでも急登に変わりはない
暗い植林帯を登りきると
すてきな緑の山が待っていた
いいじゃん♪
うかれポンチキで登っていく
この先 瀕死の状態になることを
ちがこさんは まだ知らない
すっかり尾根らしくなった明るい登山道を
所々にある赤テープを確認しながら登る
ボトボトと尋常なく汗が落ちる
暑いねぇー
通常 暑くてもあまり汗をかかない
ちがこさんだが 今日は違う
滝のような汗
しばらく登っていくと
事態が急変した
先を歩く ちがこさんの様子が
なんだかおかしい
あれ? どうしたんですか?
もう疲れたんですか?
覗き込むように
ひとしさんが声をかけた
ん
なんか 心臓バクバクするし
息も苦しいし
ヤバくない ひとち!
出だしから こんなんじゃ
ハァ ハァ ハァ
1603mの第一ポイントの
水場入口に到着
ここまで2時間
山頂はまだまだ遠い
これじゃ ちがこさん登りきれないよ
敗退したほうがいいんじゃない?
どうしましょう
ペースが遅い上 少し歩いては立ち止まり
すぐに休憩したがる ちがこさん
止まらないで進んで下さい
足取りの重い ちがこさんを前に
イライラする ひとしさん
夏の暑い太陽がサンサンと樹林帯の中に照りつけ
気温はどんどん上昇していく
あぢぃ~
水分をとって下さい
熱中症になるといけないですから
ハァ ハァ ハァ
2100mの赤テープまで登った
なんでそんなに苦しいんですか?
お酒の呑みすぎです
休肝日を作りましょう
なんでお酒のせいにするかな
お酒のせいじゃないもん
ブツブツ・・・
納得のいかない ちがこさん
少し歩いては休み
また止まっては水分補給
いつになったら山頂に到達できるんだろ?
イラ イラ イラ イラ
右手側の尾根は 農鳥岳に続く
大唐松尾根
雲がかかっているのは
きっと北岳だよね
いつもなら どんなに大変でも
辛くっても 楽しい登り
山頂からのすばらしい景色を想像して
ワクワクする気持ちを抑えきれない貴重な時間
しかぁ~し
今日は違う
たった100mの標高を上げるのも苦痛で
地面とひたすらにらめっこ
はぁ。。。
ちがこさん 大丈夫?
もうヤメたら?
うるさい
登るよ
強情な
標高が上がるとガスが山を覆った
もしかして展望ダメかもしれませんね
体調が悪い上 無理してまで登ろうっていうのに
景色までダメだったら頭にくる
テンション下がりまくり
かすかに山鈴の音が聞こえた
山頂から下ってきた おじいちゃん
本日初めてすれ違う 貴重な登山者
山頂はガスですか?
いや いいよ
南峰はダメだけど 北峰はいいよ
すっごくいい
ひゃぁ~
そうなんですか
がんばろっと
シャクナゲが出てきたら
あと20分くらいで山頂だよ
がんばってね
テンションアップ
とはいえ 登山道はどんどん狭くなり
倒木も多く登りにくい
体調は回復するどころか
めまいはするし ヨロけて倒れそう
ヤバい ヤバい
しっかりしなくっちゃ
後方から あまりのノロさに
ひとしさんがブウたれる
お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです
お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです
お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです お酒が悪いんです
とうとう ちがこさんがキレた
う うるさいな
週に二回 休肝日入れるよ
うじゃうじゃ言わないで
お酒ヤメる気はないんだね
じゃ 今週から月・木で
ブツブツ。。。
ハァ ハァ ハァ
ガスから出た
とたんに ギラギラした太陽が照りつける
ピンクのイワカガミが群生
山頂はもう近い
青空が眩しい南峰に到着
周囲は背丈ほどの木で囲まれていた
よかったですぅー
ここまで5時間半で登れました
不調の割に早い時間に到達できたので
ひとしさんは ルンルン
あれ?
ちがこさんは?
あらあら 座りこんじゃって
ゲボゲボ
おえーっ
でたぁーっ!
ひとちの十八番
って 今日は ちがこさんかい
少しは楽になりましたか?
まぁね
まったく最悪だよ これって笠ヶ岳に登った時と
大して変わんないくらい悲惨な感じ
再び立ち上がると ヨロヨロしながら
今度は北峰に向かった
居心地よさげな山頂のテン場を通過
展望のいい北峰に
先に到着した ひとしさん
ご満悦
ひとち
景色見せてよ
わかりましたぁ~
スゴいでしょ!
もしかしなくて
あの死体みたいなの?
そうですぅ
汗臭いタオルを地面に敷くと
ゴロリと横になった
もう動けましぇん
あ゛―
悲惨だね
ダウンしたのは仕方ないとしても
実は もっと悲惨なことがあったのだ
この時期山頂には ハエとアリがいっぱいいた
ちがこさんを襲ったのは
集団ヤロー人噛みアリ
クロヤマアリ
亜高山帯の陽当りのいい場所に生息
黒い影は敵とみなし攻撃する。
本日来ている服は黒
敵と判断されても仕方ないか
やつらは容赦なく 倒れている
ちがこさんの服の隙間から侵入
瀕死状態で動けないことをいいことに
噛みたい放題
噛まれ続けること1時間半
噛み跡は 赤くふくれ かゆいのなんの
まるで麻疹みたいじゃん
悪かったね
前年まで
ブユ・
山ヒル・
山ダニの餌食
そして今年は 人噛みアリの餌食となった
ここまでアリに噛まれたのは初体験
そー考えると
ブランコ毛虫は見た目はどうであれ
無害でしたね
そーゆーことじゃなくって
で ちがこさんが攻撃されてる間
ひとちは何してたの?
えっ えっ
かっちょいい私の撮影ですぅ~
見せましょうか?
い いいよ
見たいでしょ?
べ 別に
じゃ~ん
きたぁ~っ
かっちょいい
まだまだぁーっ
とりゃぁーっ
あれ?
もういいんですか?
山頂に誰もいなくてよかったね
間違いなく変人だと思われてたと思うよ
1時間半後
ようやく ちがこさんが起き上った
下山できますか?
うん
歩けるし 帰るよ
南峰に別れを告げ
一気に2000m近い標高を下る
よかったね ちがこさん
元気になって
うん
忘れないで下さいよ
私との約束 休肝日!
わかってるしぃー
登りの時は苦しくて
周囲を見回す気力もなかった
下山時にみつけた
ナラッシー
白いランデブーしているひとたちを
眺めながら下った
足の裏が痛くなるころ
登山口の第二発電所に到着
夏の扉が開いたとたん
辛く苦しい山歩きとなってしまった
それでも
ヨレた中年でもやる気さえあればなんとかなる
ということを証明できたような気がする・・・
by ちがこさん
沢の水で 汗ダクの顔を
ジャブジャブ洗う
さっぱりしましたぁ~
いい顔してるよ ひとち
この日の立ち寄り湯はこちら
奈良田温泉
女帝の湯
田舎の農家のような レトロな雰囲気の温泉です
源泉を飲むこともできるよ