2009年06月07日
プチ遭難?
2009/02/28
宝永山・双子山
標高 2127m
天気
ガス
山行時間 8時間30分
距離 18km
(コース)水ヶ塚駐車場(8:30-9:00)-一合五勺(10:00)-二合(10:45)-御殿庭下(11:30)-御殿庭中
(12:00)-双子山・宝永山の分岐(1:30)-双子山の分岐(2:00)-?(2:20)-双子山の分岐(2;40)-四辻(3:30)-御殿庭・宝永山の分岐/下(3:50)-一合五勺(4:00)-南山休憩所(4:15)-南山林道分岐(4:40)-水ヶ塚駐車場(5:00)

決断しなければいけない・・・
今 まさに ひとちがは 絶体絶命のピンチを迎えていた。
時刻は PM3時をまわっている。
御殿庭から双子山へ抜けるコースの三方に分かれる分岐、 選ばなくてはいけない 究極の選択を前に体が震えた・・・・
お天気は
ガス。
それでも 数日で積もった雪は歩きやすく アイゼンやスノーシューを使わなくても 二合手前まで 登山靴のみで歩けるご機嫌なコンディションだった。

いつものように 水ヶ塚から御殿庭を目指す。
出発時間はAM9時とやや遅めではあるが 慣れたホームグランドでは 雪があっても 多少出発時間は遅くても 余裕で山行を楽しむ自信があった。
登山道にはトレースはまったくない。
鹿たちの足跡だけが点々と 登山道を往来している。
富士山はここの所 雲に隠れ姿をみせてくれていない。
当然のことながら登山者などいるはずもなく 積もった雪は ひとちががトレースをつけていくのみだ。

一合五勺までは遊歩道となっているので 迷うことはないが その先は 登山道は急勾配となり樹林帯に入る。
積もった雪の下にはアイスバーンになっているため 二合手前ではアイゼンが必要となった。
もちろん 雪の積もった登山道は 通い慣れていないと 雪で景色が一転しているため コースを迷ってしまうのだろうが 昨年より 冬山・雪山修行として何度も訪れたホームグランドは 雪で景色が変わってしまっても何の不安もなかった。
確実に赤テープを確認しながら 山行を続ける ひとちが。

二合を過ぎ 御殿庭下の分岐にようやく到着。
雪の勾配はかなり体力を消耗する、ちがこさんは結構バテ気味だ。
周りを見渡せば いつもより標高の低い場所から樹氷が始まっていた。
お天気がよければ 青空に樹氷が キラキラ光ってもっと綺麗だろうな・・・

残念ながら 今日はガスで周りが見にくい状況下である。
美しく煌くような樹氷を見物することすらできない。
アライタ沢方面からきたのであろうか スキーの跡が白いコースにくっきりとついている。
登山者がいるんだ・・・
御殿庭中からは 第三火口底に抜け 双子山に抜けるコースをとる。
その前に展望はないが分岐で 腹ごしらえ。
今日はガスで視界がよくない、四合から双子山へ抜けるコースは 富士山・宝永山の展望も望めないため あえて避けることにした。
第三火口底までの登山道は雪が深く 急斜面なためスノーシューに履き替えても 転がるように下る。
その上 倒木も多く 雪のない時期なら くぐって通るコースを 倒木をまたぎながらの山行となった。

もちろん 赤テープ通りのコースを通過することなど到底できない。
樹林帯を抜けた場所からの方向は 今までの山行でわかっていたので ひたすら 第三火口底を目指して進んだ。

樹林帯を抜け、第三火口の左手を分岐に向かう。
火口に沿った双子山方面へのコースは 美しい富士山・宝永山の展望はなくても スノーシューで山行を楽しむには 最高に楽しいコースである。
樹林帯とは違い、夏場なら火口石のゴロゴロした幅広いコースであるが、今日は 降り積もった雪のため 大きめの火口石が白い雪の間から 顔を覗かせているだけで コースらしいトレースもついていないので確認できない状態だった。

それにしても ホワイトアウトしたこのコースは 広すぎて どこもかしこも道があるように見える。
唐松についた樹氷は 横になびき この付近の風の強さを強調している・・・
今日は風がなく穏やかだ。
まだ ブリザードよりはマシかもしれないが、ぼんやりとしか見えない先の風景が ひとちがを不安にさせた。
昨年、同じ場所で ホワイトアウトで迷いかけた 嫌な思い出が頭をよぎる・・・
反して 空から落ちてくる雪は パラパラとパウダースノー。
スノーシューで歩くのには最適に思えた。

標高差のない 広いコースから 下りの斜面に入る。
樹林帯は 更にコースは複雑、不明瞭。
樹林帯を抜けた所は 大きな溝になっている。
ざっくり切れたような 溝に沿って下ると三方に分かれた分岐に出る。
赤テープの確認がとれないまま コースアウトしながら樹林帯を滑るように下った。

ちがこさんが予想していた通り 無事分岐まで出ることができた。
しかし・・・
その先を見て ひとちがの二人は 唖然としてしまった・・・
溝を越え、先にある小山(たぶん西二塚)に向かうコースは木さえなく、進むべき方向は 大体わかっても 本当によいのかわからないのだ。
昨年は ここで大きな間違いをし 本コースより 右手方向に進路をとったため 小山の山頂にでてしまい往生した。(次の樹林帯を抜けるためには やや上のコースをとらないと赤テープは見つかりません。 コース上、山頂は通過しないので注意。)
今回は同じ間違えを繰り返さないように 左手方向に上り気味に 進路をとることにした。
この小山を通過できなければ 双子山には出ることができない。
昨年同様、高度を下げてしまうと山頂どころか 樹林帯に迷い込む可能性があった。
この ホワイトアウトした状態で 樹林帯に迷い込むことは 危険極まりない、それだけは避けなくてはいけない・・・
ひとしさんは ちがこさんの指示通り 斜面を左に高度を上げながら進んだ。
いつもなら先を行く ちがこさんは 深くなった雪を ひとしさんにラッセルしてもらい進むしかない。
700メートルほど進んだであろうか?
見たこともない場所に出てしまった。
広く小山の山頂のように見えるが 本コース上にある昨年間違って出てしまった 小山の山頂とはまったく違う。
昨年の間違いのように 本コース上の小山の山頂の内で 少し迷うくらいなら まだよいが 今回は どこを自分たちが歩いているのか見当もつかないのだ。
ひとしさんが振り返る。
「本当にこのコースでいいの?」
いつもなら 「大丈夫!」と答える ちがこさんも今回は声が出ない。
方向には自信がある、でも 通ったことのない場所で はっきり断言はできない。
窮地に立たされてしまった・・・
「どうするの?」
ひとしさんの声に ビクリとする。
「三方の分岐まで戻ろう・・・」
ここまでの道のりは かなり体力を使った。
きっと この先を進めば ちがこさんの予想していたように 双子山のすぐ近くに出られるかもしれない、いつもの見慣れた目標物さえ確認できれば 正規のコースに戻れるのだから。
でも 自信がなかった・・・
ひとしさんは嗚咽を始めた・・・
緊張と 不安と 恐怖で起こる 独特の症状である。
この状態は ひとしさんにとって かなりのプレッシャーとの戦いなのだ。
自分たちのつけた トレースに沿って 三方の分岐まで戻る。
三方の分岐、案内板のあるポイントは 溝の上、尻セードで下ったくらいだから よじ登るのにも苦労する。
時刻は PM3時をまわっている。
決断しなければいけない・・・
今 まさに ひとちがは 絶体絶命のピンチを迎えていた。
【選択1】
今まで山行してきた道をピストンで引き返すコース。
迷わなくとも登山口に到着できるのは PM7時を過ぎるであろう。
山行時間が長すぎ 暗闇の山行になる恐れあり。
【選択2】
エスケープルートとなるはずの 御殿庭下へ抜けるコース。
深い雪に覆われている・・・
トレースはまったくなく 赤テープの確認さえもできない。
くねくねと森林の中に戻るコースは たとえコースタイムは最短であったとしても 迷うことは間違いない。
危険すぎる・・・
【選択3】
そして 最後のコースといえば、予定していた双子山に抜けるコースである。
しかし、今 迷って引き返してきたばかりの道で本当によいのだろうか?
双子山に抜けられるか自信がもてない・・・
ひとしさんの顔を見ながら ちがこさんは決めた。
選択3、すなわち 今 迷って戻ってきた道を進むこと。
今度は 先程とったコースよりやや右下を 下り過ぎないように歩いてみる。
いつの間にか 先程とったコースと合流してしまい またも 見たことのない小山に 立っていた・・・
自分達のつけたトレースの上を歩いている。
ダメだ・・・
同じ場所に出ちゃった・・・
ひとしさんに標高を確認してもらう。
「丁度2000メートルかな。」
ひとしさんの時計は やや高度が高めに表示される癖がある。
そうか・・・・
2000メートルってことは 双子山の標高と ほぼ同じ、高めに表示されるわけだから このまま山腹に沿って歩けば 双子山の真横に出る計算になる。
双子山の真横には 御殿場口方面に向うコースがあり、広い平原のような場所に 白いポールが20メートルおきぐらいに立っているのだ。
これだけホワイトアウトしていれば そのポールを見つけることは難しいかもしれないが 悪くしても 宝永山の山腹を巻いて 御殿場口方面にでるのが関の山。
賭けてみるしかない・・・
迷った小山を抜けると たぶん 宝永山の山腹であろう 斜めに歩く ただひたすら雪の斜面のような場所にでた。
左下の斜面はいったいどこまでいけば斜面の底が見えるのかわからない状態である。
山肌を滑り落ちないように 自然と右手のストックに力が入る。
アイゼンとピッケルに交換すべきであっただろうか?
「ひとしさん、これ以上 高度を上げないように歩いて!」
たぶん・・・
少しずつ 高度を下げていけば いつもの双子山のすぐ前に出るはずだから
不安になりながら進む・・・
その時、
「あ、あったぁー!!」
すぐ前を歩いていた ひとしさんが大きな声を出した。
その先には 白い景色に中に 一本だけ 浮かび上がって見える白いポールが立っていた・・・

よ、よかった・・・・
ちがこさんが予想したコースは間違いではなかった。
心の中から嬉しかった、そして安心した。

双子山は すぐ目の前だというのに形すら確認できない。
安心して のんびり帰路をとるわけにはいかなかった。
ポールに沿い いつもの四辻の分岐に出る、その先は いつもの慣れたコースに合流、ここからは急いでも 登山口には1時間半はかかるのだ。
それでも足取りは軽く、ピッチを上げて歩いた。

登山口についたのは 日が落ちる寸前のPM5時、なんとか無事に帰ることがでた。
ホームグランドで遭難・・・・
一歩間違えれば 夜を雪山で越さなくてはいけなかったかも・・・
危険な山行、無謀な山行と反省するのみである。
装備も甘くみすぎていた。
今後このような事が起こらないように 万全なる準備と計画で山行したいと考えている。
生きて帰ることができて 本当によかったね、ひとしさん。
プチ遭難のいきさつ
宝永山・双子山
標高 2127m
天気

山行時間 8時間30分
距離 18km
(コース)水ヶ塚駐車場(8:30-9:00)-一合五勺(10:00)-二合(10:45)-御殿庭下(11:30)-御殿庭中
(12:00)-双子山・宝永山の分岐(1:30)-双子山の分岐(2:00)-?(2:20)-双子山の分岐(2;40)-四辻(3:30)-御殿庭・宝永山の分岐/下(3:50)-一合五勺(4:00)-南山休憩所(4:15)-南山林道分岐(4:40)-水ヶ塚駐車場(5:00)

決断しなければいけない・・・
今 まさに ひとちがは 絶体絶命のピンチを迎えていた。
時刻は PM3時をまわっている。
御殿庭から双子山へ抜けるコースの三方に分かれる分岐、 選ばなくてはいけない 究極の選択を前に体が震えた・・・・
お天気は

それでも 数日で積もった雪は歩きやすく アイゼンやスノーシューを使わなくても 二合手前まで 登山靴のみで歩けるご機嫌なコンディションだった。

いつものように 水ヶ塚から御殿庭を目指す。
出発時間はAM9時とやや遅めではあるが 慣れたホームグランドでは 雪があっても 多少出発時間は遅くても 余裕で山行を楽しむ自信があった。
登山道にはトレースはまったくない。
鹿たちの足跡だけが点々と 登山道を往来している。
富士山はここの所 雲に隠れ姿をみせてくれていない。
当然のことながら登山者などいるはずもなく 積もった雪は ひとちががトレースをつけていくのみだ。

一合五勺までは遊歩道となっているので 迷うことはないが その先は 登山道は急勾配となり樹林帯に入る。
積もった雪の下にはアイスバーンになっているため 二合手前ではアイゼンが必要となった。
もちろん 雪の積もった登山道は 通い慣れていないと 雪で景色が一転しているため コースを迷ってしまうのだろうが 昨年より 冬山・雪山修行として何度も訪れたホームグランドは 雪で景色が変わってしまっても何の不安もなかった。
確実に赤テープを確認しながら 山行を続ける ひとちが。

二合を過ぎ 御殿庭下の分岐にようやく到着。
雪の勾配はかなり体力を消耗する、ちがこさんは結構バテ気味だ。
周りを見渡せば いつもより標高の低い場所から樹氷が始まっていた。
お天気がよければ 青空に樹氷が キラキラ光ってもっと綺麗だろうな・・・

残念ながら 今日はガスで周りが見にくい状況下である。
美しく煌くような樹氷を見物することすらできない。
アライタ沢方面からきたのであろうか スキーの跡が白いコースにくっきりとついている。
登山者がいるんだ・・・
御殿庭中からは 第三火口底に抜け 双子山に抜けるコースをとる。
その前に展望はないが分岐で 腹ごしらえ。
今日はガスで視界がよくない、四合から双子山へ抜けるコースは 富士山・宝永山の展望も望めないため あえて避けることにした。
第三火口底までの登山道は雪が深く 急斜面なためスノーシューに履き替えても 転がるように下る。
その上 倒木も多く 雪のない時期なら くぐって通るコースを 倒木をまたぎながらの山行となった。

もちろん 赤テープ通りのコースを通過することなど到底できない。
樹林帯を抜けた場所からの方向は 今までの山行でわかっていたので ひたすら 第三火口底を目指して進んだ。

樹林帯を抜け、第三火口の左手を分岐に向かう。
火口に沿った双子山方面へのコースは 美しい富士山・宝永山の展望はなくても スノーシューで山行を楽しむには 最高に楽しいコースである。
樹林帯とは違い、夏場なら火口石のゴロゴロした幅広いコースであるが、今日は 降り積もった雪のため 大きめの火口石が白い雪の間から 顔を覗かせているだけで コースらしいトレースもついていないので確認できない状態だった。

それにしても ホワイトアウトしたこのコースは 広すぎて どこもかしこも道があるように見える。
唐松についた樹氷は 横になびき この付近の風の強さを強調している・・・
今日は風がなく穏やかだ。
まだ ブリザードよりはマシかもしれないが、ぼんやりとしか見えない先の風景が ひとちがを不安にさせた。
昨年、同じ場所で ホワイトアウトで迷いかけた 嫌な思い出が頭をよぎる・・・
反して 空から落ちてくる雪は パラパラとパウダースノー。
スノーシューで歩くのには最適に思えた。

標高差のない 広いコースから 下りの斜面に入る。
樹林帯は 更にコースは複雑、不明瞭。
樹林帯を抜けた所は 大きな溝になっている。
ざっくり切れたような 溝に沿って下ると三方に分かれた分岐に出る。
赤テープの確認がとれないまま コースアウトしながら樹林帯を滑るように下った。

ちがこさんが予想していた通り 無事分岐まで出ることができた。
しかし・・・
その先を見て ひとちがの二人は 唖然としてしまった・・・
溝を越え、先にある小山(たぶん西二塚)に向かうコースは木さえなく、進むべき方向は 大体わかっても 本当によいのかわからないのだ。
昨年は ここで大きな間違いをし 本コースより 右手方向に進路をとったため 小山の山頂にでてしまい往生した。(次の樹林帯を抜けるためには やや上のコースをとらないと赤テープは見つかりません。 コース上、山頂は通過しないので注意。)
今回は同じ間違えを繰り返さないように 左手方向に上り気味に 進路をとることにした。
この小山を通過できなければ 双子山には出ることができない。
昨年同様、高度を下げてしまうと山頂どころか 樹林帯に迷い込む可能性があった。
この ホワイトアウトした状態で 樹林帯に迷い込むことは 危険極まりない、それだけは避けなくてはいけない・・・
ひとしさんは ちがこさんの指示通り 斜面を左に高度を上げながら進んだ。
いつもなら先を行く ちがこさんは 深くなった雪を ひとしさんにラッセルしてもらい進むしかない。
700メートルほど進んだであろうか?
見たこともない場所に出てしまった。
広く小山の山頂のように見えるが 本コース上にある昨年間違って出てしまった 小山の山頂とはまったく違う。
昨年の間違いのように 本コース上の小山の山頂の内で 少し迷うくらいなら まだよいが 今回は どこを自分たちが歩いているのか見当もつかないのだ。
ひとしさんが振り返る。
「本当にこのコースでいいの?」
いつもなら 「大丈夫!」と答える ちがこさんも今回は声が出ない。
方向には自信がある、でも 通ったことのない場所で はっきり断言はできない。
窮地に立たされてしまった・・・
「どうするの?」
ひとしさんの声に ビクリとする。
「三方の分岐まで戻ろう・・・」
ここまでの道のりは かなり体力を使った。
きっと この先を進めば ちがこさんの予想していたように 双子山のすぐ近くに出られるかもしれない、いつもの見慣れた目標物さえ確認できれば 正規のコースに戻れるのだから。
でも 自信がなかった・・・
ひとしさんは嗚咽を始めた・・・
緊張と 不安と 恐怖で起こる 独特の症状である。
この状態は ひとしさんにとって かなりのプレッシャーとの戦いなのだ。
自分たちのつけた トレースに沿って 三方の分岐まで戻る。
三方の分岐、案内板のあるポイントは 溝の上、尻セードで下ったくらいだから よじ登るのにも苦労する。
時刻は PM3時をまわっている。
決断しなければいけない・・・
今 まさに ひとちがは 絶体絶命のピンチを迎えていた。
【選択1】
今まで山行してきた道をピストンで引き返すコース。
迷わなくとも登山口に到着できるのは PM7時を過ぎるであろう。
山行時間が長すぎ 暗闇の山行になる恐れあり。
【選択2】
エスケープルートとなるはずの 御殿庭下へ抜けるコース。
深い雪に覆われている・・・
トレースはまったくなく 赤テープの確認さえもできない。
くねくねと森林の中に戻るコースは たとえコースタイムは最短であったとしても 迷うことは間違いない。
危険すぎる・・・
【選択3】
そして 最後のコースといえば、予定していた双子山に抜けるコースである。
しかし、今 迷って引き返してきたばかりの道で本当によいのだろうか?
双子山に抜けられるか自信がもてない・・・
ひとしさんの顔を見ながら ちがこさんは決めた。
選択3、すなわち 今 迷って戻ってきた道を進むこと。
今度は 先程とったコースよりやや右下を 下り過ぎないように歩いてみる。
いつの間にか 先程とったコースと合流してしまい またも 見たことのない小山に 立っていた・・・
自分達のつけたトレースの上を歩いている。
ダメだ・・・
同じ場所に出ちゃった・・・

ひとしさんに標高を確認してもらう。
「丁度2000メートルかな。」
ひとしさんの時計は やや高度が高めに表示される癖がある。
そうか・・・・
2000メートルってことは 双子山の標高と ほぼ同じ、高めに表示されるわけだから このまま山腹に沿って歩けば 双子山の真横に出る計算になる。
双子山の真横には 御殿場口方面に向うコースがあり、広い平原のような場所に 白いポールが20メートルおきぐらいに立っているのだ。
これだけホワイトアウトしていれば そのポールを見つけることは難しいかもしれないが 悪くしても 宝永山の山腹を巻いて 御殿場口方面にでるのが関の山。
賭けてみるしかない・・・
迷った小山を抜けると たぶん 宝永山の山腹であろう 斜めに歩く ただひたすら雪の斜面のような場所にでた。
左下の斜面はいったいどこまでいけば斜面の底が見えるのかわからない状態である。
山肌を滑り落ちないように 自然と右手のストックに力が入る。
アイゼンとピッケルに交換すべきであっただろうか?
「ひとしさん、これ以上 高度を上げないように歩いて!」
たぶん・・・
少しずつ 高度を下げていけば いつもの双子山のすぐ前に出るはずだから

不安になりながら進む・・・
その時、
「あ、あったぁー!!」
すぐ前を歩いていた ひとしさんが大きな声を出した。
その先には 白い景色に中に 一本だけ 浮かび上がって見える白いポールが立っていた・・・

よ、よかった・・・・

ちがこさんが予想したコースは間違いではなかった。
心の中から嬉しかった、そして安心した。

双子山は すぐ目の前だというのに形すら確認できない。
安心して のんびり帰路をとるわけにはいかなかった。
ポールに沿い いつもの四辻の分岐に出る、その先は いつもの慣れたコースに合流、ここからは急いでも 登山口には1時間半はかかるのだ。
それでも足取りは軽く、ピッチを上げて歩いた。

登山口についたのは 日が落ちる寸前のPM5時、なんとか無事に帰ることがでた。
ホームグランドで遭難・・・・
一歩間違えれば 夜を雪山で越さなくてはいけなかったかも・・・
危険な山行、無謀な山行と反省するのみである。
装備も甘くみすぎていた。
今後このような事が起こらないように 万全なる準備と計画で山行したいと考えている。
生きて帰ることができて 本当によかったね、ひとしさん。


Posted by ひとちが at 21:17│Comments(0)
│☆富士山